2011年11月

2011年11月10日

ミニ小説〜不動産コンサルタントは見た!木造アパート投資実況中継10

ミニ小説

〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継10


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10.エピローグ


1
週間ほどして、田倉事務所からホームインスペクション報告書が届いた。


ホームインスペクターの古田さんが指摘していたことが、写真とともに簡潔にまとめられている。


修繕工事が必要な部分は、屋根防水塗装、外壁修繕および防水工事、雨どい洗浄と階段などの鉄部の錆処理だ。



僕は知り合いの防水工事業者2社に連絡し、工事見積もりをお願いした。


それぞれから見積もりが届く。いずれも200万円程度だ。



僕はインスペクション報告書と両者の工事見積もりを持って、クライアントの小林さんのところに説明に行った。


「建物の躯体はほぼ問題なさそうです。ただ、屋根と外壁は防水工事をしっかりやったほうが良さそうですね。それから、雨どいの洗浄、階段など鉄部の錆のメンテナンスも必須のようです。修繕費用は200万円くらいですね。」


「判りました。じゃあ、買っちゃいましょう。ただし、購入希望金額は変更しますよ。200万円の修繕工事代金を差し引いた4800万円でお願いしますね。修繕は買った後で結構です。田中さん、頑張って交渉してきてくださいね!うまくいったら、あの物件にある『メンバーズクラブ マリリン』でご馳走しますよ! 田中さんはリベンジしなきゃ、ですしね。」


小林さんは、軽い口調でそう言った。



翌日、京橋不動産の松田君のところへ行き、買主である小林さんの意向を伝えに行った。


「松田君、この物件はさほど問題がないことが判ったよ。ただ、屋根の防水、外壁修繕と防水、雨どい洗浄、鉄部の錆処理は最低限実施しておく必要があることが判った。この工事費は複数者に見積もりをしてもらった結果、200万円程度かかることも判った。だから、この修繕費用を売買代金から差し引かせてほしいんだ。工事は購入の後、買主の責任で実施するからさ。」


200万円ですか・・・。まあ、この程度なら上を説得できると思います。」


「それから、このホームインスペクション報告書を契約締結前に実施する重要事項説明書に添付しようと思う。そして重要事項説明書には、屋根の防水劣化、外壁劣化、雨どいに溜まった土、鉄部の錆が存することを記載する。そうすれば、その部分は売主が負うべき瑕疵担保責任ではなくなるからね。」


「そうでしたね。売主のうちにとっては、そこが一番のポイントでした。早速、上に起案しますね。」



その後、特に揉めることもなく契約条項の調整が終了し、2週間後には売買契約は締結に至った。



今日は「お祝い会」ということで小林さんと一杯やることになっている。


日はすっかり落ちたというのに、蝉がけたたましく鳴く中、僕は小林さんに指定された店、「メンバーズクラブ マリリン」に向かう。


「もしかして、小林さん、この物件が気に入ったというより、ママのことを気に入ってしまったのかも・・・。そんな訳ないか。」と独り言を言いながら、今度こそはジェントルな呑み方をしようと心に決め、僕は歩を進めた。

終わり


(最後までお読みいただきありがとうございました!)


※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。

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2011年11月01日

ミニ小説〜不動産コンサルタントは見た!木造アパート投資実況中継9

ミニ小説

〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継9


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9.ホームインスペクション実施(2)


小屋裏(屋根裏)に上がった僕たちが眼にした木造の柱や梁、野地板(屋根板)に染み付いたいくつもの雨染み。普通、雨の日の翌日ならば、多少は湿っているはずだ。


「ん?。雨染み部分にしては、木が乾いてる気がしますよ。」と僕。


「含水率を調べましょう。」古田さんは計測機器を取りだした。


「・・・えー!?含水率13%ですよ。」


雨染み跡がある部分を手当たり次第チェックするものの、どれも13%〜14%なのだ。


ちなみに、建築用材木の場合20%以下がよいとされているため、この建物の部材は極めて優秀な水準ということになる。


古田さんは剥がれかけた断熱材を指差して言う。


「あそこに断熱材が貼ってあるでしょう。昭和50年初めの建物で屋根に断熱材を貼るなんてありえませんから、屋根を葺き替えた可能性がありますね。これらの雨染みは、恐らく屋根を葺き替える前のものだと思いますよ。」


「過去に雨漏りがあっても、現時点で雨漏りがなく、構造部材の木材が十分に乾燥していれば、安心してもいいんですか。」


「大丈夫です。雨が染みだしてこない状態ならば、構造部材の木は十分力を発揮できますから。」


古田さんは続ける。


「ただ、やっぱり古い建物ですし、屋根の塗装が劣化している点や、外壁がボロボロになっている点を考えると、長持ちさせるという意味から、屋根の防水工事や外壁の塗装はしたほうがいいと思いますよ。」


1
階の店舗にも許しを得て中を調査する。


1
階の天井裏を覗いてみたところ、木造構造体に雨染みは見られるが、いずれも乾燥している。これも、屋根を葺き替える前のもののようだ。



次に、各室内の水平垂直状態を調査するというので、古田さんの跡についていく。


古田さんは、各室内の窓やふすま、ドアや引き戸などの建具をひとつひとつ動かしている。


「これで何かわかるんですか?」


「動きがスムーズでない場合、建物が歪んでいるかもしれないですからね。」


建物が歪む理由はいくつかあるが、経年劣化で床がたわむというようなものから、地盤の半分が沈みこんだ結果、建物が斜めに歪むというようなもの(不同沈下)まで考えられる。


後者が理由で、建物が水平垂直でないということは、建物そのものの荷重のかかり方が不均等になるため、ある一部分に大きな力が加わることになる。


そうなると、そこから劣化が始まってしまったり、ちょっとした地震などで、その部位を中心に大きな損傷を被ったりするリスクがあるのだ。


これが雨漏りと連動して柱などが腐朽すると、大きな損害になる。


古田さんは、水平垂直を精緻に調査できるレーザー計測器を取り出し、さらに調査を進める。


室内に照らし出された赤いレーザーは、建物の柱や天井のラインときれいに合致している。


結果的に、今回は、全く問題ないことが判った。


その後、水道をひねって水を出してみたり、きちんと排水されるかなどをチェックしていく。

これらも特に問題はないようだった。


ただ、雨どいに溜まった土や鉄製の階段のサビなどは指摘事項になったようだ。雨どいに土が溜まっていると雨水がきちんと排水できず、建物内部に水が染み込む原因になるという。



ほっと一息ついた僕を尻目に、眼を皿のようにして設計図書をめくる古田さんがつぶやく。


「建物図面通りにきちんと施工されてますね。きっと建築屋さんがしっかりしたところだったんでしょうね。」


「図面通りでないことなんて、そんなにあるんですか?」


「木造住宅には、図面通りに建築されていない建物が無いわけではないんですよ。だから、木造住宅は品質にばらつきがあると言われているんですよ。図面通りに建てられていれば、殆ど問題はないんですけどね。木造住宅のほうが鉄筋コンクリートよりも地震に弱いといわれてしまうのは、木造建築物の品質のばらつきが原因ともいえるんですよ。」


「なるほど。そもそも、この建物、築34年ですけど、建物図面があっただけでも奇跡ですよね。僕の経験上、築20年程度でも建物図面がないっていうケースは多々ありますもん。」


「そうですね。建物図面を保管しておくことは大切なんですよ。」


古田さんは続ける。


「この建物は、旧建築基準法時代の建物ですから、現在の基準より耐震性は低いけれども、木材のコンディションはとてもいいですね。ですから、維持管理さえきちんとすれば、まだまだ使えると思いますよ。ただ、屋根の塗装、外壁の修繕と防水工事、雨どいに溜まった土の除去、鉄部のサビ除去は必須ですね。」

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