2012年01月

2012年01月27日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第五話 専任媒介契約

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第五話 専任媒介契約


***********************************

家を売るなら絶対に知っておきたい3大ポイント メルマガ配信中

http://www.mag2.com/m/0000284083.html

バックナンバーは全て公開していますので、メルマガ登録しなくてもご覧

いただけます。

中古マンション・戸建住宅 売却・購入のノウハウ集はこちら

http://www.ayumi-ltd.com/blogindex/

***********************************



ミニ小説 〜不動産屋の背信 第五話 専任媒介契約


五十嵐は、菜々の眼の前に書類を差し出した。


そこには「専任媒介契約」と書いてある。


おっとり型の美樹でさえも「契約書」という文字に対し、少々不安な表情だ。となれば、相手に突っ込みを入れるのはいつもの通り菜々の役割だ。


「契約書の内容について、きちんとご説明いただけませんか。」


「もちろんです。これは媒介契約書というもので、お客様が不動産の売却の依頼を不動産業者にする際の契約です。この契約を結ばないと、宅地建物取引業法上、不動産業者は買主探しのお手伝いができないルールになっています。裏面の約款は国土交通省の標準約款ですからご安心ください。」


「国土交通省が定めたものなんですね」

紙面一杯に細かい文字で書かれた約款を眺めながら美樹がつぶやく。


「そうです。どの不動産業者でも同様のひな形を利用しているはずですよ。まあ、中には勝手に書き換えている業者もいるかもしれませんが、うちは財閥系大手ですから、ご心配なさらなくても大丈夫ですよ。」


確かに、この媒介契約書は西京不動産販売のロゴが入ったひな形だ。下手に改ざんすることなどないだろう。


菜々は、自分が勤める西京商事と同じグループである西京不動産販売なら、さほど心配しないでもいいだろうと思ってはいるものの、念のため聞いてみた。


「専任というのはどういう意味ですか?」


「専任というのは、弊社だけに売却活動をお任せいただくということです。他の不動産業者さんにも売却活動を依頼できる一般媒介というものもありますが、この場合、弊社としてはお客様の不動産に対して十分な広告宣伝費をかけることができないんです。また、専任媒介ならば弊社の優良なお客様だけをご紹介できます。一般媒介ですとどこの馬の骨か解らない買主さんと取引しなければならないというリスクもあります。ですから、弊社では専任媒介をお勧めしています。」



西京不動産販売からすれば、一般媒介契約では意味がない。別の不動産業者にこの売り物件を奪われては折角の収益機会を逃しかねないからだ。

特に買主探しが簡単な人気物件であればなおさらだ。本来、買主探しが楽な物件なら、広告費をさほどかける必要もないのだが、専任媒介を売主に選択させる目的で「十分な広告費をかけられる」というセールストークを使う。

さらに、専任媒介をさらに強く勧めるために、「どこの馬の骨か判らない買主」との取引リスクについて強調する。西京不動産販売以外の不動産業者が連れてくる買主は、西京としては素性が判らないという意味だが、ここにもウラがある。

実は、専任媒介でも自社で買主を見つけることができなければ、他の仲介業者に買主探しを頼ることになるため、この言い回しは、単に一般媒介を売主に選ばせないための口上なのだ。

しかし仲介業者がこんなことを考えていることなど、売主は知る由もない。


美樹が頷きながら五十嵐の話を聞いている脇で、菜々は、西京不動産販売だけに売却活動を任せるのはどうかと少々思ったが、西京グループならトラブルになるリスクはないだろうと感じていた。


「藤川様、特にご異論がなければ、こちらにご記名ご捺印ください。それから、契約期間は3ヶ月になりますので、それまでには何とか優良なお客様を見つけます。」


奈々と美樹が書類に記名押印を終えるところで、五十嵐は言った。


「ところで、買主探しのための物件資料作成のために、土地の測量図など書類が必要なのですが、お手元にございますか。」


「それならこちらにまとめてありますよ。」


奈々はファイルにとじ込まれた書類を五十嵐に手渡した。


「よろしければ本日こちらをお預かりさせていただき、セールス用の物件資料を早急に作成させてください。物件資料が出来上がりましたら藤川様にお届けしますので。その際に、この媒介契約書に弊社が押印したものを一通をお持ちしますね。」


「えっ。今日は媒介契約書にサインしてもらえないんですか。」


契約書なのだから、記名押印は同時にするのが当然だ。


「申し訳ございません。弊社はリスク管理の観点から印鑑の持ち出しが禁止されておりますので、どうかお許しください。実際、セールス活動を行うにしても物件資料が完成しないとできませんし。」


「構わないわよね。奈々。」と姉の美樹が安心しきった顔で微笑んでいる。


「そうだね。お姉ちゃん。じゃ、判りました。」


「それでは、例のチラシのお客様へのご紹介を含め、一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします。」


こう言う五十嵐を奈々と美樹は玄関から見送った。


※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。


人気ブログランキング



***********************************

不動産は、人に安心と豊かさを与えるものでなければなりません。

それは、人と不動産が切っても切れない関係にあるからです。

だから当社は

「不動産を通じて豊で安心な社会を実現すること」

目的として事業を展開します。

***********************************

<運営会社>

ホームインスペクション(住宅診断)付き中古住宅・マンションの売却・購入

 株式会社あゆみリアルティーサービス

http://www.ayumi-ltd.com/

東京都中央区京橋1−14−6 ガーデニアビル9階

104-0031  TEL03-6228-7937

■本内容については万全を期しておりますが、その内容の全てを保証するもの

ではありません。万が一これらの内容を各人の判断で使用したことにより損害

を被った場合、弊社は一切責任を負いかねます。

2009-2012CAyumi Realty Service All Rights Reserved.

***********************************




ayumiltd at 16:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0)ミニ小説(不動産屋の背信) 

2012年01月10日

2012新春 金利放談

2012新春 金利放談


***********************************

家を売るなら絶対に知っておきたい3大ポイント メルマガ配信中

http://www.mag2.com/m/0000284083.html

バックナンバーは全て公開していますので、メルマガ登録しなくてもご覧

いただけます。

中古マンション・戸建住宅 売却・購入のノウハウ集はこちら

http://www.ayumi-ltd.com/blogindex/

***********************************



2012
新春 金利放談


ミニ小説ばかりアップしていると、「この人は何者?」と思われるかもしれませんので、元銀行員の不動産コンサルタントらしい記事を一つ。


2010
年、2011年と、年始に住宅ローン金利の動向について戯言を書きましたが、2012年も戯言を。


金利上昇には、「よい金利上昇」と「悪い金利上昇」というのがあります。


「よい金利上昇」は、経済が上向きになっていく過程の中で金利が上昇するもので、今の日本でそれが実現するためには、昨年のお正月に私が書いたように、


1.
アメリカの雇用環境が改善する

2.日本の政局が安定し成長戦略が具体化する

3.ヨーロッパの金融危機が顕在化しない


という3つの要素が必要だと私は考えています。


少なくとも、アメリカの直近の雇用統計では改善が見られますが、2.3.は全くダメですよね。


したがって、当面「よい金利上昇」は考えられないというのが私の持論です。



だからと言って、このまま超低金利が続くと信じてはいけないと思うのです。


そうです。「悪い金利上昇」の兆しを観察しておく必要があるのです。


本日の日本経済新聞によれば、昨年度は貿易収支が赤字に転落し、数年は赤字が定着するのではないか、とのこと。


所得収支と貿易収支の黒字で、サービス収支、経常移転収支の赤字をカバーし、経常収支の黒字を維持してきた日本ですが、この記事によれば、所得収支も今後は縮小傾向とのことでした。


これは、日本の財政悪化を懸念する金利上昇を促す材料ってことですね。



昨年のお正月に、日本の財政悪化を懸念する金利上昇が発生するとすれば、以下のシナリオが考えられると私は記事に書きました。


1.
日本の政局が不安定で、税制改革と社会保障改革がなされず、巨額の財政赤字がこのまま改善しない中で、

2.今後5年程度で経常収支が赤字になり、資金を海外から頼らざるを得ない土壌が出来上がるとともに

3.人口減少と高齢化の進展で、日本の家計の金融資産が減少していくことで、今後10年〜15年程度で国内での国債消化が厳しくなり

4.金利は上昇せざるを得なくなる


先の日経新聞の記事からすると、2.については現実味を帯びてきたということです。


1.
は言わずもがなですね。社会保障改革がないままに消費税を増税しただけでは、意味がないわけですから。


もうひとつ、3.の事象を表すものと考えてもよいと思いますが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本国債の大量売却。


現在の年金収支は収入約27兆円、支出約35兆円で約8兆円の赤字。この赤字を埋めるために、GPIFが積立金を取り崩して支払っています。GPIFの積立金はその3分の2が日本国債で、その積立額はピークだった平成21年度末が約123兆円、昨年3月で約116兆円、昨年9月で約109兆円にまで減少しています。


社会保障改革がなされない限りは、今後も積立金を取り崩さざるを得ないわけですが、この国債供給圧力の高まりは、国債価格の押し下げ圧力(金利は上昇圧力)になるという可能性を否定できません。


「まだまだ日本の国債は売れてるじゃないか」「海外投資家も買ってるよ」「財政悪化といっても日本政府の純資産は大きいから問題ないよ」という意見も事実だと思うんですが、海外投資家が日本国債を評価しているのは、最悪、日本政府は日本国民にババを引かせるだろうと考えているからなんだと思います。

もし、海外投資家にも火の粉が降りかかるリスクがある、つまり経常収支が赤字になり、日本の財政赤字を埋めるために海外から資金を調達せざるを得なくなったときに、海外投資家が「日本国民だけでなく自分達もババをつかまされる可能性があるのでは?」と考えるようになったら、今のままの低金利状態であり続けるかどうか、ちょっと微妙だと思うのです。
 


そんなわけで、今年も一言。


目先の金利に目を奪われて住宅ローンを組むというのはやめたほうが良さそうです。


固定金利で返済シミュレーションした上で、冷静に判断することをお勧めします。


住宅ローンは何と言っても長いですから。



<参考>

20101月の記事(住宅ローン金利は今後どうなる?)

http://ayumi-ltd.livedoor.biz/archives/2102549.html

http://ayumi-ltd.livedoor.biz/archives/2107537.html


2011
14日の記事(中古住宅購入 金利上昇の時期は?)

http://ayumi-ltd.livedoor.biz/archives/3239727.html

人気ブログランキング



***********************************

不動産は、人に安心と豊かさを与えるものでなければなりません。

それは、人と不動産が切っても切れない関係にあるからです。

だから当社は

「不動産を通じて豊で安心な社会を実現すること」

目的として事業を展開します。

***********************************

<運営会社>

ホームインスペクション(住宅診断)付き中古住宅・マンションの売却・購入

 株式会社あゆみリアルティーサービス

http://www.ayumi-ltd.com/

東京都中央区京橋1−14−6 ガーデニアビル9階

104-0031  TEL03-6228-7937

■本内容については万全を期しておりますが、その内容の全てを保証するもの

ではありません。万が一これらの内容を各人の判断で使用したことにより損害

を被った場合、弊社は一切責任を負いかねます。

2009-2012CAyumi Realty Service All Rights Reserved.

***********************************




ayumiltd at 12:37|PermalinkComments(0)TrackBack(0)その他 

2012年01月09日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第四話 価格査定

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第四話 価格査定


***********************************

家を売るなら絶対に知っておきたい3大ポイント メルマガ配信中

http://www.mag2.com/m/0000284083.html

バックナンバーは全て公開していますので、メルマガ登録しなくてもご覧

いただけます。

中古マンション・戸建住宅 売却・購入のノウハウ集はこちら

http://www.ayumi-ltd.com/blogindex/

***********************************



ミニ小説 〜不動産屋の背信 第四話 価格査定


土曜日の昼下がり、藤川家の呼び鈴が軽やかに鳴った。


「西京不動産販売の五十嵐でございます」


インターフォンに出た藤川菜々は、五十嵐を玄関に招き入れる。


藤川邸の玄関を入ると、モリディアーニだろうか、女性の肖像画が眼前に現れる。続いて眼を上に向けると大きな吹き抜けの空間が広がる。菜々は、五十嵐が玄関の様子を鑑賞するのを少々待ってから、姉の美樹が控えるリビングへ五十嵐を案内した。



五十嵐は美樹と菜々に挨拶を済ますと、鞄からレポートを取り出した。


「さっそくですが、藤川様のご自宅の価格査定をして参りましたので、簡単にご説明させていただきます。」


手渡されたレポートはA4サイズ3枚分だ。五十嵐は15分程度かけて簡単に説明したが、美樹や菜々にとって具には理解できない内容だった。二人に理解できたことは、土地が12500万円、建物が0円ということだった。


姉の美樹は、解ったような解らない様な顔で五十嵐の話を聞いている。美樹は、長女とはいえおっとり型で、菜々とすれば少々頼りない面があった。一方の菜々はその逆で、幼いころから何事にも積極的ではっきりと物を言う少々気の強い面のある女性だった。だからこそ、藤川姉妹にとって一大事業となる自宅売却の仕切り役は、菜々が担うのが当然であった。


菜々は、土地の査定額については、自分がインターネットで調べた水準からするとやや高めではないかと感じていた。一方建物については、0円ということはあり得ないと感じた。自宅に残っていた建物請負契約によると、請負金額は3000万円程度だった。築10年だからといって、0円ということはないのではないか。しかも、五十嵐は、今日初めてこの建物を見たにも拘わらず0円と言い切っている。


「土地の値段は納得感があるんですけど、建物が0円というのはどういうことですか?」


五十嵐は答えた。


「一般的な一戸建の規模は30坪程度です。お宅のように50坪の建物となるとかなり大きな規模になりますので、購入する方は限られます。通常、この規模の建物をお買い求めになる方は、それなりのお金持ちでしょうし、そういう方は自分の好きなように建物を建てたがります。つまり大型の中古建物は極めて売りにくいんです。藤川様の建物はとても立派ですが、そういったお金持ちの方々が、この建物を気に入るかどうかは分かりませんし、気に入らなければ逆に解体費がかかるということになります。」


さらに五十嵐は続ける。


「本来、この周辺で一般的に売れる規模である30坪程度の土地の場合、その土地相場は1坪あたり200万円といったところです。藤川様の土地は60坪弱ありますから、規模的には倍の大きさになりますので、1坪あたり200万円より安くなるはずです。しかし、藤川様のご所有土地は立地も環境もよいので、周辺相場よりも少々高めの水準で販売活動をしてみる価値があると考え、今回のような査定結果に致しました。ただし、一定期間の販売活動を経過しても、この水準で買主が見つからない場合には、建売業者などに売却することを検討していただくことになると思います。」


確かに、菜々としても自宅周辺の新築建物はずいぶん小さくなっている気がしていた。自分の家がかなり大きな家であり、昨今の景況感からすれば簡単に売れる建物ではないことは感覚的には理解できた。


とはいえ、元々は「
この地域で中古一戸建てを探しているお客様がいます。急いでいますので相場より高く買います!」というチラシを入れてきたのは西京不動産販売なのだ。西京不動産販売の考えではなく、この周辺で相場より高く買うという買主が、自分の物件に対してどのような評価をしてくれるのかをまずは知りたい。もしかすると、その買主は、この土地だけでなく建物も気に入るかもしれないのだ。


「チラシのお客さんはどうなんですか」

と菜々は切りだす。


すると、五十嵐はこう言った。
 

「チラシのお客様だけでなく弊社の優良顧客に対して、早急に藤川様のご所有不動産をご紹介したいと思っておりますが、法律上、媒介契約を締結してからでないと、セールス活動ができないルールになっています。まずは、この書類にサインをしてほしいのですが。」


※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。

人気ブログランキング


***********************************

不動産は、人に安心と豊かさを与えるものでなければなりません。

それは、人と不動産が切っても切れない関係にあるからです。

だから当社は

「不動産を通じて豊で安心な社会を実現すること」

目的として事業を展開します。

***********************************

<運営会社>

ホームインスペクション(住宅診断)付き中古住宅・マンションの売却・購入

 株式会社あゆみリアルティーサービス

http://www.ayumi-ltd.com/

東京都中央区京橋1−14−6 ガーデニアビル9階

104-0031  TEL03-6228-7937

■本内容については万全を期しておりますが、その内容の全てを保証するもの

ではありません。万が一これらの内容を各人の判断で使用したことにより損害

を被った場合、弊社は一切責任を負いかねます。

2009-2012CAyumi Realty Service All Rights Reserved.

***********************************




ayumiltd at 14:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)ミニ小説(不動産屋の背信)