2012年12月

2012年12月12日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第二十三話 背信の裏側

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十三話 背信の裏側


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十三話 背信の裏側


奈々は、美樹からの電話を切ると、西京不動産販売の五十嵐あてダイヤルをプッシュした。


約束の朝10時までに、西京不動産販売が勧めてきた建売業者である「大雄ホーム」に9500万円で買ってくれとお願いするか、それとも、大雄ホームを諦め、HSリアルティーが連れてきた今村という個人の買主の話を進めるかを決めなければならないのだ。


「もしもし、桜新町の藤川と申しますが、五十嵐さんはいらっしゃいますか?」


「お待ちください。」


しばらくすると、五十嵐の声が聞こえてくる。


「おはようございます。藤川様。ご検討の結果は如何ですか?」


「いろいろ考えましたが、今村さんの話を聞いてみようということになりました。」


「そうですか。わかりました。では、大雄ホームさんには、今回のお話はなかったことにするようご連絡してもよろしいですね。」


五十嵐は最後通告のつもりで切り返した。


奈々は一瞬戸戸惑う。


やはり、確実に買ってくれる大雄ホームのほうがよいのではないか? 大手である西京の勧めに従ったほうが、後々後悔しないで済むのではないか?


そう感じる一方で、なぜ西京不動産販売が、HSリアルティーが連れてきた今村の話を自分達に伝えなかったのか?

単に自分達の利益だけのために行動していたのか?それとも何か事情があるのか?という考えが彼女の頭を廻る。


HSリアルティーの畑中にしても、まだ直接会ったわけではない。


西京不動産販売の五十嵐を信じるべきか、HSリアルティーの畑中を信じるべきか、奈々は、頭の中が混乱しそうだった。


しかし、やってみるしかない。建売業者ならば他にもたくさんいる。9500万円という価格にならないにしても、それに近い金額が、理屈上は出てもおかしくない。


奈々は思い切って答える。


「しかたありませんね。今回はお断りしてください。」


一瞬、沈黙が流れる。


五十嵐は五十嵐で、大雄ホームで話を進める目もあると踏んでいたからだ。


「解りました。それでは大雄ホームさんには、後ほどお断りの連絡を入れておきます。それから、私からHSリアルティーさんに連絡して、一度物件を見学してもらうように手配します。」


五十嵐は何事もなかったかのように、淡々とした口調で話を進める。


「次の土曜日にでも、物件見学をしてもらいましょう。それでいいですね。」


「お願いします。ところで・・・」


奈々は思い切って口を開く。


「今村さんのお話ですけど、以前から物件を見学したいというお話があったようですね。何故知らせてくれなかったんですか?」


五十嵐は淡々と答える。


「私たちは、藤川様に安全に取引をしていただくために、属性の解らない仲介業者との取引を避けたいと考えているんです。この業界は海千山千です。あとあとトラブルになるような方と取引することは、私たちとしてもお勧めしたくないんです。そりゃ、買主を連れてきたのが大手ならば、お話をきちんと繋げますよ。今回はそうではありませんから。たとえ、元東都信託銀行の方であっても。」


五十嵐の発言は、前段は本音だが、後段は嘘だ。

たとえ大手から問合せがあっても、「商談中」と言って他の不動産業者が連れてくる買主候補には物件を見せないようにするし、売主に話を繋げることはない。


ただ、五十嵐個人が悪いわけではないのだ。

西京不動産販売という組織のみならず、大手不動産仲介会社は、実績に強く左右される給与体系であることが多い。

組織で自分の処遇を守ろうと思うなら、取引トラブルを避け、安全確実に取引を成約させ、かつ収益が最も高くなるような選択をせざるを得ないことも多い。
 

また、不動産仲介のルールとしても、他の不動産業者が連れてきた買主の話を、売主側の不動産業者が売主に伝えなかったからと言って、罰則規定があるわけでもないのだ。


奈々は、五十嵐に対する疑念が払拭できたわけではないものの、今後の話をスムーズに進めるために、これ以上の追求をやめ、次の土曜日のアポイントを再確認して電話を切った。
 

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※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などとは一切関係ありません。


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ayumiltd at 16:18|PermalinkComments(0)TrackBack(0)ミニ小説(不動産屋の背信)