ミニ小説〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継6)ミニ小説〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継8)

2011年10月11日

ミニ小説〜不動産コンサルタントは見た!木造アパート投資実況中継7

ミニ小説

〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継7


<バックナンバーは末尾にあります>



7.ホームインスペクション拒否!?


早速、僕は売主である京橋不動産の松田君のところへ報告に行った。


「僕のクライアントがあの物件をかなり気に入ってくれているんだ。購入希望金額は5000万円だけどね。」


5000万円ですか。それなら上司を説得できると思います!早速話をあげてみますよ。」


松田君は嬉しそうに応える。


「で、ひとつお願いがあるんだよ。」


松田君は僕の言葉に対し、表情を少しこわばらせている。


僕は、小林さんにサインしてもらった「買受申込書」を松田君に見せながら話を進める。買受申込書とは、売主に対して購入希望金額などを記載した購入申込書のようなものだ。


「要は、契約する前にホームインスペクションを実施させてほしいんだ。ホームインスペクションっていうのは、建物診断のことなんだけどね。」


ところが、松田君は顔をやや曇らせながら言う。


「ホームインスペクションで、何か問題が出てしまったらどうなるんでしょう?」


「修繕しなければならない問題がある場合、協議の上で修繕費用を差し引いて買わせてもらうことになるね。」


「例えば、5000万円以上かかるような問題があったら・・・」


「そりゃ、購入は断念せざるを得ないね。」


「そうなりますよね。本音を言うと、売主としては面倒なことはしたくないんです。ホームインスペクションを実施したがために、知りたくもない問題が見つかってしまったら、その問題を隠して、他の買主に売るわけにもいかないでしょう。場合によっては誰にも売れなくなってしまうかもしれませんし・・・。」


確かに、売主からすれば、自分の物件が荒探しされるのはいやだろうし、何か欠陥が見つかった場合は、知らないふりをして売るわけにもいかない。そうであれば、わざわざ診断などせず、本当に知らないまま売ってしまったほうがいいと考えるのは自然だろう。一方、売主としてそんなスタンスでいいのか?という思いも交錯する。そして何よりも、このままでは話が前に進まない。


さて、どうしたものか。。。



「じゃあ、こうしよう。」と僕は切りだした。


「ホームインスペクションはうちが発注するよ。もちろん費用はうちの負担だよ。うちがホームインスペクションの発注者で費用負担者となるわけだから、診断報告書はうちの財産になるよね。」


「そうなりますね。。。」


「そしてその内容について、うちは御社に開示しない。ホームインスペクションの内容を知り得るのは、うちの会社とうちのクライアントだけだ。」


「はい。。。」


松田君はまだピンと来ていない様子だ。僕は続ける。


「もし、うちのクライアントが買わないと判断した場合、うちとクライアントは御社に対して、ホームインスペクションの内容も開示しないし、買わなかった理由についても一切説明しない。つまり、御社はこの物件の問題点については何ら知り得ない立場になる。」


さらに僕は続ける。


「もし、うちのクライアントが買うと判断し、御社もそれに合意した場合には、ホームインスペクションの内容を御社に開示する。開示した内容は、売買契約前の重要事項説明書に容認事項として記載すれば、瑕疵担保責任(※)の問題から御社は解放されるよね。記載された問題点は隠れた瑕疵にならないから、御社もかなりリスクが減る。だからホームインスペクションだけはやらせてくれよ。」


松田君はやっと僕が言わんとすることを理解したようで、瞳をくりくりさせながらこう言った。


「そうか!何か問題があったとしても、田中さんのお客さんが買わないなら、その問題をうちは知ることはない。もし田中さんのお客さんが買ってくれるなら、ホームインスペクションの結果は全て開示されるから、うちの瑕疵担保責任リスクが殆どなくなるってことですね!」


「その通り!」


「それなら大丈夫だと思います。じゃあ、すぐに調査に取り掛かってください。いいお返事を期待してますよ。」



(※)瑕疵担保責任

売買の対象物に隠れた瑕疵(外から容易に見つけることができない欠陥や不具合)がある場合、売主が買主に対して負う責任のことを言います。

隠れた瑕疵があった場合、買主は売主に対して契約解除や損害賠償請求を行うことができますが、買主が契約の際にこうした瑕疵の存在を知らなかった場合で、かつ、知らなかったことについて買主に落ち度がない場合に限ります。一般的には、雨漏りや建物の構造部分の腐蝕、シロアリの害、給排水管からの漏水などがあります。


※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。


<バックナンバー>

1.物件との出会い

2.現地検分

3.クライアント訪問(1)

4.クライアント訪問(2)

5.テナント調査
6.ホームインスペクションって何だろう

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ayumiltd at 15:50│Comments(0)TrackBack(0) ミニ小説 

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