2012年01月10日
2012新春 金利放談
2012新春 金利放談
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2012新春 金利放談
ミニ小説ばかりアップしていると、「この人は何者?」と思われるかもしれませんので、元銀行員の不動産コンサルタントらしい記事を一つ。
2010年、2011年と、年始に住宅ローン金利の動向について戯言を書きましたが、2012年も戯言を。
金利上昇には、「よい金利上昇」と「悪い金利上昇」というのがあります。
「よい金利上昇」は、経済が上向きになっていく過程の中で金利が上昇するもので、今の日本でそれが実現するためには、昨年のお正月に私が書いたように、
1.アメリカの雇用環境が改善する
2.日本の政局が安定し成長戦略が具体化する
3.ヨーロッパの金融危機が顕在化しない
という3つの要素が必要だと私は考えています。
少なくとも、アメリカの直近の雇用統計では改善が見られますが、2.と3.は全くダメですよね。
したがって、当面「よい金利上昇」は考えられないというのが私の持論です。
だからと言って、このまま超低金利が続くと信じてはいけないと思うのです。
そうです。「悪い金利上昇」の兆しを観察しておく必要があるのです。
本日の日本経済新聞によれば、昨年度は貿易収支が赤字に転落し、数年は赤字が定着するのではないか、とのこと。
所得収支と貿易収支の黒字で、サービス収支、経常移転収支の赤字をカバーし、経常収支の黒字を維持してきた日本ですが、この記事によれば、所得収支も今後は縮小傾向とのことでした。
これは、日本の財政悪化を懸念する金利上昇を促す材料ってことですね。
昨年のお正月に、日本の財政悪化を懸念する金利上昇が発生するとすれば、以下のシナリオが考えられると私は記事に書きました。
1.日本の政局が不安定で、税制改革と社会保障改革がなされず、巨額の財政赤字がこのまま改善しない中で、
2.今後5年程度で経常収支が赤字になり、資金を海外から頼らざるを得ない土壌が出来上がるとともに
3.人口減少と高齢化の進展で、日本の家計の金融資産が減少していくことで、今後10年〜15年程度で国内での国債消化が厳しくなり
4.金利は上昇せざるを得なくなる
先の日経新聞の記事からすると、2.については現実味を帯びてきたということです。
1.は言わずもがなですね。社会保障改革がないままに消費税を増税しただけでは、意味がないわけですから。
もうひとつ、3.の事象を表すものと考えてもよいと思いますが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本国債の大量売却。
現在の年金収支は収入約27兆円、支出約35兆円で約8兆円の赤字。この赤字を埋めるために、GPIFが積立金を取り崩して支払っています。GPIFの積立金はその3分の2が日本国債で、その積立額はピークだった平成21年度末が約123兆円、昨年3月で約116兆円、昨年9月で約109兆円にまで減少しています。
社会保障改革がなされない限りは、今後も積立金を取り崩さざるを得ないわけですが、この国債供給圧力の高まりは、国債価格の押し下げ圧力(金利は上昇圧力)になるという可能性を否定できません。
「まだまだ日本の国債は売れてるじゃないか」「海外投資家も買ってるよ」「財政悪化といっても日本政府の純資産は大きいから問題ないよ」という意見も事実だと思うんですが、海外投資家が日本国債を評価しているのは、最悪、日本政府は日本国民にババを引かせるだろうと考えているからなんだと思います。
もし、海外投資家にも火の粉が降りかかるリスクがある、つまり経常収支が赤字になり、日本の財政赤字を埋めるために海外から資金を調達せざるを得なくなったときに、海外投資家が「日本国民だけでなく自分達もババをつかまされる可能性があるのでは?」と考えるようになったら、今のままの低金利状態であり続けるかどうか、ちょっと微妙だと思うのです。
そんなわけで、今年も一言。
目先の金利に目を奪われて住宅ローンを組むというのはやめたほうが良さそうです。
固定金利で返済シミュレーションした上で、冷静に判断することをお勧めします。
住宅ローンは何と言っても長いですから。
<参考>
2010年1月の記事(住宅ローン金利は今後どうなる?)
http://ayumi-ltd.livedoor.biz/archives/2102549.html
http://ayumi-ltd.livedoor.biz/archives/2107537.html
2011年1月4日の記事(中古住宅購入 金利上昇の時期は?)
http://ayumi-ltd.livedoor.biz/archives/3239727.html
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