ミニ小説〜不動産屋の背信 第十七話 風雲急を告ぐ不動産を通じて豊かで安心な社会を実現する

2012年09月11日

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十八話 上司の判断

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十八話 上司の判断


***********************************

家を売るなら絶対に知っておきたい3大ポイント メルマガ配信中

http://www.mag2.com/m/0000284083.html

バックナンバーは全て公開していますので、メルマガ登録しなくてもご覧

いただけます。

安心中古住宅売買の極意 記事検索ページはこちら

http://www.ayumi-ltd.com/blogindex/


***********************************


ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十八話 上司の判断


第十七話はこちら


「高橋、ちょっと一緒に来い!」


HSリアルティーの畑中からの電話を切った五十嵐は、舌打ちしながら高橋に声をかけると、上司である坪川課長のもとへ足を進めた。


「坪川課長、桜新町の件なんですが、ちょっと面倒なことになりそうなんです。」


「どうした?」


「売主がやっと、建売業者の買い取り価格水準で納得しつつある状況にあるんですが、変な横やりが入りまして・・・」


「横やりって?」


「HSリアルティーっていうよくわからない業者が客付けしてきまして、こんな買付証明書を送ってきたんですよ。高橋がHSリアルティーに所在地を教えてしまったがために・・・」


五十嵐は、その横でこわばって立っている高橋を睨みながらそう言った。


坪川は、そんなことには気づかずに、黙って例の買付証明書を読んでいる。


◆希望価格    1億2500万円(土地・建物価格は別途協議)

◆契約予定日   平成24年○月△日  手付金1000万円

◆決済予定日   契約予定日より1ヶ月後  

◆その他条件   

・買主は、現在お話を進めている別の買主が存すること、そ
 の買主が優先交渉権を持つことを了承します。

・契約前に、建物を見学すること、ホームインスペクション
 (住宅診断)を実施することを条件とします。

・ホームインスペクションの結果、修繕に大幅な費用がかか
 る場合は、売買金額の減額についてご相談させていただく
 場合があります。

・融資条件なし。


五十嵐は、坪川が買付証明書を一読するのを待って口を開く。


「坪川課長、しかもこの買主、HSリアルティーによると、売主に自分の思いのたけを手紙に書いて直接送ると言っているんです。ちょっと普通じゃない買主ですよ。こんな強引なことを言う買主はうちとしても取引できないと思うんです。」


「ほう。うちがこの買付証明書を売主に見せないんじゃないかと思ってるんだな。ちょっと気を付けたほうがいいかもしれんなあ。ところで、この業者と買主からは、何度か建物を見たいという問合せがあったんじゃないか?」


「はい、確かにありました。でも、案件会議でも言った通り、商談中と言うように決めさせてもらいましたんで、建物を見せてはいません。そもそも、どこの馬の骨かわからない業者や買主に、うちの売主を紹介できないですよ。それに、建売業者に売ることで、うちが両手(※)を取り、さらにその建売業者が一般ユーザーに販売するときにも仲介に入ることができれば、うちの手数料を最も大きくできますし。」と五十嵐。


(※)両手とは、売主と買主の間に1社の仲介業者が介在し、双方から手数料を取ること。もしHSリアルティーもこの取引に介在するとなると、西京は売主からしか手数料を取ることができなくなってしまう。


「なるほど。担当者としては正解だな。」


五十嵐は、『担当者としては』という意味を量りかねていたが、黙って坪川の話を聞き続けた。


「ホームインスペクションが条件なんだな。この仲介業者と買主、かなり先進的というか、よく勉強していると思うぞ。ちょっとその辺の仲介業者とは違うかもしれんぞ。」


「どういうことですか?」


「ホームインスペクションは、国土交通省がかなり力を入れ始めているんだ。中古住宅の流通を活性化させるために必要なものとして、注目を浴びつつあるんだよ。」


坪川は続ける。


「恐らく、買主は、うちが商談中といって無理にこの桜新町の物件を見せないようにしているんじゃないかと疑っている可能性があるな。買主が手紙を出すかどうかは判らんけど、万が一届いてしまったらトラブルになるぞ。」


「でも・・・」


「五十嵐さあ、とりあえず、この買付証明を売主に見せて説明してこいよ。もし売主がこの買付証明書を見て、こういう買主とは取引したくないと判断させればお前の勝ちだよ。そうしたら当初の予定通りに進めればいい。仮にそうでない判断を売主がするなら、売主の言うとおりに進めるしかないだろう。」


「解りました。売主には、西京としてはこういう買主をお勧めしたくないとしっかり説明した上で判断してもらいます。」


「まあ、あんまり無理すんなよ。それから高橋、住所の件だが、主担当は五十嵐なんだから、五十嵐から確認をとってから動け。五十嵐のシナリオもあるんだからな。」


「はい。。。」


この一連の行為は、売主に対する背信行為だ。高橋は、そう思う自分の気持ちを押し殺しながら、返事をした。

人気ブログランキング



※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。


***********************************

不動産は、人に安心と豊かさを与えるものでなければなりません。

それは、人と不動産が切っても切れない関係にあるからです。

だから当社は

「不動産を通じて豊で安心な社会を実現すること」

目的として事業を展開します。

***********************************

<運営会社>

ホームインスペクション(住宅診断)付き中古住宅・マンションの売却・購入

 株式会社あゆみリアルティーサービス

http://www.ayumi-ltd.com/

東京都中央区京橋1−14−6 ガーデニアビル9階

104-0031  TEL03-6228-7937

Email:tanaka@ayumi-ltd.com

■本内容については万全を期しておりますが、その内容の全てを保証するもの

ではありません。万が一これらの内容を各人の判断で使用したことにより損害

を被った場合、弊社は一切責任を負いかねます。

2009-2012CAyumi Realty Service All Rights Reserved.

***********************************



ayumiltd at 19:24│Comments(1)TrackBack(0) ミニ小説(不動産屋の背信) 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by silvertreeinn.net   2016年12月10日 01:52
If you are ready to watch humorous videos on the net then I suggest you to pay a visit this web page, it 安心中古住宅売買の極意:ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十八話 上司の判断 consists of truly thus comic not only video clips but also additional stuff.
silvertreeinn.net http://www.silvertreeinn.net/

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
ミニ小説〜不動産屋の背信 第十七話 風雲急を告ぐ不動産を通じて豊かで安心な社会を実現する