ミニ小説(不動産屋の背信)

2012年12月12日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第二十三話 背信の裏側

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十三話 背信の裏側


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えっ!これを知らずに家を売ったり買ったりするの?

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十三話 背信の裏側


奈々は、美樹からの電話を切ると、西京不動産販売の五十嵐あてダイヤルをプッシュした。


約束の朝10時までに、西京不動産販売が勧めてきた建売業者である「大雄ホーム」に9500万円で買ってくれとお願いするか、それとも、大雄ホームを諦め、HSリアルティーが連れてきた今村という個人の買主の話を進めるかを決めなければならないのだ。


「もしもし、桜新町の藤川と申しますが、五十嵐さんはいらっしゃいますか?」


「お待ちください。」


しばらくすると、五十嵐の声が聞こえてくる。


「おはようございます。藤川様。ご検討の結果は如何ですか?」


「いろいろ考えましたが、今村さんの話を聞いてみようということになりました。」


「そうですか。わかりました。では、大雄ホームさんには、今回のお話はなかったことにするようご連絡してもよろしいですね。」


五十嵐は最後通告のつもりで切り返した。


奈々は一瞬戸戸惑う。


やはり、確実に買ってくれる大雄ホームのほうがよいのではないか? 大手である西京の勧めに従ったほうが、後々後悔しないで済むのではないか?


そう感じる一方で、なぜ西京不動産販売が、HSリアルティーが連れてきた今村の話を自分達に伝えなかったのか?

単に自分達の利益だけのために行動していたのか?それとも何か事情があるのか?という考えが彼女の頭を廻る。


HSリアルティーの畑中にしても、まだ直接会ったわけではない。


西京不動産販売の五十嵐を信じるべきか、HSリアルティーの畑中を信じるべきか、奈々は、頭の中が混乱しそうだった。


しかし、やってみるしかない。建売業者ならば他にもたくさんいる。9500万円という価格にならないにしても、それに近い金額が、理屈上は出てもおかしくない。


奈々は思い切って答える。


「しかたありませんね。今回はお断りしてください。」


一瞬、沈黙が流れる。


五十嵐は五十嵐で、大雄ホームで話を進める目もあると踏んでいたからだ。


「解りました。それでは大雄ホームさんには、後ほどお断りの連絡を入れておきます。それから、私からHSリアルティーさんに連絡して、一度物件を見学してもらうように手配します。」


五十嵐は何事もなかったかのように、淡々とした口調で話を進める。


「次の土曜日にでも、物件見学をしてもらいましょう。それでいいですね。」


「お願いします。ところで・・・」


奈々は思い切って口を開く。


「今村さんのお話ですけど、以前から物件を見学したいというお話があったようですね。何故知らせてくれなかったんですか?」


五十嵐は淡々と答える。


「私たちは、藤川様に安全に取引をしていただくために、属性の解らない仲介業者との取引を避けたいと考えているんです。この業界は海千山千です。あとあとトラブルになるような方と取引することは、私たちとしてもお勧めしたくないんです。そりゃ、買主を連れてきたのが大手ならば、お話をきちんと繋げますよ。今回はそうではありませんから。たとえ、元東都信託銀行の方であっても。」


五十嵐の発言は、前段は本音だが、後段は嘘だ。

たとえ大手から問合せがあっても、「商談中」と言って他の不動産業者が連れてくる買主候補には物件を見せないようにするし、売主に話を繋げることはない。


ただ、五十嵐個人が悪いわけではないのだ。

西京不動産販売という組織のみならず、大手不動産仲介会社は、実績に強く左右される給与体系であることが多い。

組織で自分の処遇を守ろうと思うなら、取引トラブルを避け、安全確実に取引を成約させ、かつ収益が最も高くなるような選択をせざるを得ないことも多い。
 

また、不動産仲介のルールとしても、他の不動産業者が連れてきた買主の話を、売主側の不動産業者が売主に伝えなかったからと言って、罰則規定があるわけでもないのだ。


奈々は、五十嵐に対する疑念が払拭できたわけではないものの、今後の話をスムーズに進めるために、これ以上の追求をやめ、次の土曜日のアポイントを再確認して電話を切った。
 

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2012年11月18日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第二十二話 決心

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十二話 決心


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十二話 決心


「もしもし、美樹?」


「あっ、お姉ちゃん! どうだった?」


「うん、問題ないと思うわ。買主の今村さんは東都海上のOBなんですって。特種な人ではないみたい。」


「じゃあ、取引の相手として、そんなに心配しなくてもいいかもね。でも、ちゃんと買ってくれるかどうか心配だよね。大丈夫なの?」


菜々は、今村が出した買付証明書の内容が気になっていたのだ。


買付証明書というものは、普通なら、購入希望金額、契約予定日、決済引渡日、それに一般的な決まりごとが書かれている程度だ。素人である菜々にとっても、その程度の内容であれば理解できることだったが、例の買付証明書は常識的には違和感のある内容だった。


菜々は続ける。


「確か、今村さんの買付証明書には、『既に進めている買主との話がだめになったら声をかけてほしい』とか、『契約する前に住宅診断をさせてほしい』とか、『修繕に大幅な費用がかかる場合は、売買金額の減額を相談したい』とか書いてあったよね。」


「そうだね。でもね、畑中さんが言うには、仮に住宅診断をして問題があったとしても、建売業者の9500万円以上にはなると思うって言ってた。建物を壊して建替えなきゃだめな状態にならない限り、9500万円になることはないだろうって。」


「なるほどね。確かに、うちの家の修理に3000万円もかかるなんてことはないよね。」


「それと・・・」


美樹は言葉を詰まらせながら続けた。


「あの買付証明書だけど、あんな内容になったのには理由があるんだって。」


「理由?」


「うん、今村さんはね、随分前からうちを見学したいってお願いしてたらしいの。」


「えっ!そうなの? 前から見学したいって?」


「でね、西京さんからは、別の話が進んでいるから見学できないって言われてたらしいの。だから、やむを得ずあんな内容にしたんだって。」


「西京からそんなこと一度も聞いてないじゃない。どういうこと? わざと私たちに伝えなかったってこと?」


「たぶんそういうことになるわね。会社の友達が言うにはね、西京不動産販売は、私達から手数料をとるだけじゃなくて、西京不動産販売自身が買主を連れてきて、その買主からも手数料をとりたかったんじゃないかって。だから、今村さんの話を伝えなかったのかもって。だって、畑中さんが連れてきた買主の今村さんは、畑中さんに手数料を払うんだから。そうすると西京不動産販売は私達からしか手数料が貰えないでしょ。だから、西京不動産販売は、私達の家を見たいというお客さんがいるって畑中さんに言われても、伝える気にならなかったのかもしれないわ。」


「でもそれって、私達に対する背信行為じゃない!」


「でもね、菜々。畑中さんに言われたのよ。西京さんにも立場があるから、私が畑中さんと直接やりとりしたことは内緒にしておいたほうがいいって。そうしないとスムーズな取引ができなくなるかもしれないからって。。。」


「わかったわ。お姉ちゃん、もう10時まで時間がないわ。これから私、西京の五十嵐さんに電話するね。今村さんとの話を進めてほしいって。」


「菜々、よろしくね。」


菜々は、西京不動産販売の五十嵐が、今まで自分たちに事実を伝えてこなかったことに対して強い憤りを感じていたが、今は西京の五十嵐に対し、自分たちの考えを冷静に伝えることに意識を集中した。

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2012年11月02日

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十一話 真実

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十一話 真実


藤川美樹は、東都信託銀行本社ビル10階から8階の社員食堂に向かった。


ワンフロアのほぼ全てが食堂となっている8階は、朝9時半ころであれば人影もまばらで目立たない。


美樹は意を決してHSリアルティーに電話をかけた。


「あのう、私、東都信託銀行の藤川と申します。畑中さんいらっしゃいますか。」


「私が畑中ですが・・・」


「あっ、畑中さんですね。私、東都信託銀行の藤川と申します。弊社不動産部にいる同期の三上典子さんからお話を伺いお電話いたしました。」


「三井さんの同期なんですね。それはそれは。で、どうされました?」


「実は私、西京不動産販売さんにお願いして、桜新町の自宅を売却しようとしているんです。畑中さん、何のお話かわかりますよね。」


「ああ!あの桜新町の売主さんなんですね、藤川さんは。すると、今村様の買付証明書もご覧いただいたんですね。」


「そうなんです。でも、西京さんは、素性のわからない相手とは取引しないほうがいいと言うし、今日の朝10時までに、とある建売業者さんに9500万円で売ると明言しないと、この値段で建売業者にはかってもらえないかもしれないと迫られているんです。畑中さんが東都信託のご出身と聞いてちょっと安心したんですが、買主の今村さんがどんな方なのか分からず心配で。。。」


「うちのお客さんは東都海上火災のOBで今村様という方です。特に問題がある方ではありませんよ。」


「東都海上の方なんですか。ちょっと安心しました。でも、あの買付証明書を読むととても不安で・・・」


「そうでしょうね。ただあのような内容になったのには事情があるんです。」


「事情?」


「ここだけの話にしてほしいんですが、実は、今村様はこの物件にずっと興味をお持ちで、弊社から西京さんに物件見学のお願いした経緯があるんです。しかし、西京さんからは別に進めているお客様があると言われ、藤川さんの物件を拝見させて頂くことができなかったのです。」


「えっ!物件見学の申し込みをしていただいたんですか?」


「はい。ところが数週間経過しても、藤川さんの物件は西京のウェブサイトに掲載されたままの状態が続いていましたので、先行している買主さんとの交渉がスムーズに進んでいないかもしれないと思い、万が一、先行している買主さんとのお話がダメになった場合、今村様に検討させてほしいというメッセージを送ったというわけなんです。」


「そうなんですか。分かりました。」


美樹は一息置いて、話を続けた。


「今、建売業者さんが9500万円で買ってくれるという話があるんですが、10時までにどうするか決めないと、この話がなくなるかもしれないんです。どうしたらいいのか分からなくて・・・」


12週間くらい待ってもらえないんですか?普通ならその程度の期間、待っていただけると思うんですが・・・」


「西京の説明では待てないということなんです。ところで、畑中さんのお客さんは絶対に買ってくれるんですか?」


「それは保証できませんよ。まだ物件見学もしていないんですから。住宅診断もさせていただきたいですし。もちろん、結果として、何も問題がなければ12500万円で購入したいというご希望です。」


「問題があったらどうなるんですか?」


「問題というのは建物の劣化状況次第ですね。売主さんに修繕してもらいたい箇所がある場合、修繕費用を差し引いた価格になるかもしれません。」


「修繕費用ってどの程度ですか?」


「まずは、中を見せていただいて、住宅診断をしてみないと何とも言えません。ただ、9500万円ということは、12500万円と3000万円の差ですよね。今お住まいになっていて、雨漏りがひどいとか、家が傾いているとか、柱が朽ちているということがないなら、そんなに大きな金額がかかるとは思えません。仮に、どうにもならない欠陥が見つかった場合、3000万円の修繕をするより建替えたほうがいい。3000万円なら、解体費用を含めても十分な金額ですからね。だから、9500万円というのは最低ラインの金額ということになると思いますよ。」


「解りました。ちょっと妹と相談してみます。」


電話を切ろうとした美樹を遮るように、畑中が付けくわえる。


「藤川さん、今日こうやって私と直接話をしたことについて、西京には言わないほうがいいですよ。西京さんにも立場がありますし、気分を害されてしまうと今後スムーズなやりとりができなくなってしまうかもしれないので。」


「解りました。有難うございます。」


そう言って、美樹は電話を切った。そして急ぎ、妹の奈々に電話をする。
 

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2012年10月22日

ミニ小説〜不動産屋の背信   好評連載中

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<あらすじ>

桜新町にある自宅を売ろうとしている藤川姉妹。

そこに大手仲介会社の西京不動産販売 五十嵐一樹が入り込む。

五十嵐は専任媒介契約を締結し買主探しを始めるが、最も仲介手数料を稼げる建売業者への売却を目論んでいた。

そこに、仲介業者HSリアルティー代表の畑中が現れる。畑中の顧客である今村が藤川姉妹の桜新町を気に入っているためだ。

売主の藤川姉妹、買主として競合する建売業者と今村。そして売主と買主の狭間で激しい戦いを繰り広げる仲介業者 西京不動産販売とHSリアルティー。

家の売り買いにおいて、しばしば起こる事象を当事者それぞれの立場で描き出す。


家を売ろうと思っている方、家を買おうと思っている方にとって、知っておくべき不動産仲介業界の姿を赤裸々に語るストーリー。

 

第一話  第二話  第三話  第四話  第五話  第六話

第七話  第八話  第九話  第十話  第十一話 第十二話

第十三話 第十四話 第十五話 第十六話 第十七話 第十八話

第十九話 第二十話

 

第二十一話は間もなくアップ予定!

 

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2012年10月12日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第二十話 覚悟

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十話 覚悟


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■木賃デベロップメント 始めました!

 老朽化し入居者がなかなか決まらないアパート(主に木造など)を、オーナーとともにもう一度見直し、いまの時代とまちに合った物件に生まれ変わらせます。詳しくはフェイスブックページをご覧ください。

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十話 覚悟


翌朝の830分。


この時間帯の地下鉄半蔵門線大手町駅はスーツ姿の群衆でごった返す。その群衆は一斉に大手町や丸の内の大型ビル群に吸い込まれていくのだ。


藤川姉妹の長女である美樹もその群衆に呑まれながら地下通路を抜け、東都信託銀行本社ビルへ足を進めていた。


美樹は自分の席につくとパソコンを立ち上げ、社内イントラネットを起動する。不動産部に所属する同期の三上典子に連絡するためだ。


「もしもし、典子?ご無沙汰。」


「あー美樹、ご無沙汰―。どうしたの。朝から私に電話なんて。」


「うん、畑中翔麻さんっていう人、どんな人か知りたくて・・・」


「ちょー有名人だよ。」


「どんな人なの?」


「美樹、うちのイケメン社員と婚約してるっていうのになーに?まずいんじゃない?」


「ちがうよ、典子。実はね、うちを売ろうと思ってるんだけど、今、西京不動産販売にお願いしてるのよ。東都不動産販売にお願いすべきだったのかもしれないけど、子会社だから社内でバレバレになるし、なんかそういうのもいやだったしね。」


「そうなんだ。で、なんで畑中さんなの?」


「うん、その畑中さんがね、うちの家が欲しいっていう買主さんを見つけてくれたらしいんだけど、なんだかよく分からないの。」


「わからないって?」


「畑中さんもその買主さんもね、うちの家を見に来てくれたこともないのに、買受申込書っていう書類を西京不動産販売に送ってきたのよ。」


「なるほど。物件も見ていないのに買受申込書ね。。。」


「どういうこと。」


「解らないけど、西京不動産販売はね、美樹から手数料をとるだけじゃなくて、自分の連れてきた買主からも手数料をとりたいのよ。だから、畑中さんが連れてきた買主とは取引したくないの。だって、畑中さんが連れてきた買主は畑中さんに手数料を払うんだから。そうすると西京は美樹からしか手数料が貰えないでしょ。だから、西京不動産販売は、畑中さんに美樹の家を見たいというお客さんがいるって言われても、美樹達には伝えないのよ。」


「でも、買受申込書を西京に送って来たのよ。」


「だから、そうでもしないと美樹達に会えないでしょ。物件も見れないじゃない。よほど欲しいんだと思うよ。その買主さん。少なくとも畑中さんは、買うつもりのない人を使って買受証明書を西京に出すような人じゃないよ。」


「そっか。そんなことってあるんだ。」


「あんまりないとは思うけどね。希にあるって聞くよ。」


「で、畑中さんて、どんな人なの?」


「凄い人だよ。将来は不動産部門を担う人物になるだろうって言われるくらいの実績を挙げてたし、後輩の私たちも本当にお世話になったんだ。正義感が強くて、お客さんからの受けもよくて、いまでも信託時代のお客さんには畑中ファンがいるって話だしね。だけど、うちの信託にいたんじゃ自分のやりたいことができないって言って退職して、自分で起業したんだ。」


「やりたいことって?」


「中古住宅の取引をもっと透明にしたいって言ってたよ。」


「そうなんだあ。」


「直接、畑中さんに電話してみたら。東都の後輩として連絡すればいいじゃない。三上から聞いて連絡しましたって言ってもらってもいいよ。」


「ありがとう、典子。ちょっと考えてみるね。また連絡するね。」


「うん、じゃね。」


時計の針は915分を過ぎている。


美樹は慌てて妹の奈々に連絡する。


「あっ、奈々。なんか凄い人みたいよ。畑中さんて。東都信託の不動産部門でも優秀で有名だったみたい。それで決して変な人じゃないって言ってた。でも・・・」


「なに、お姉ちゃん?」


9500万円で買ってくれるかもしれない建売業者さんの話がなくなってしまうかもしれないのよね。畑中さんのお客さんが買ってくれればいいけど、どうなるか判らないし。。。どうしたらいいと思う?奈々。」


「おねえちゃん、直ぐに畑中さんの会社に電話して、話を聞いてもらえない。まだ10時までには時間はあるわ。畑中さんが変な人じゃないことが判ったんだから、あとは買主がどんな人で何を考えているか確認するしかないよ。」


「でも、仕事中よ。」


「何言ってるのよ。トイレに行くふりして電話すればいいじゃない!」


「そ、そうよね。分かったわ。やってみる。」


美樹が腕時計に目をやると、既に時計の針は930分を指していた。 人気ブログランキング


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2012年10月02日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第十九話 二者択一

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十九話 二者択一


五十嵐は坪川課長との打合せを終えると、その日のうちに売主である藤川姉妹との面談の約束を取り付けた。


五十嵐が藤川邸の応接に腰かけ、姉妹に説明を始めた時には夜9時を回っていた。


「今日は突然申し訳ありませんでした。早急にご報告したいことが二点ありまして。」


「何かあったんですか?」


「まずは、前回のご面談時にお話した件です。建売業者が藤川様のご所有不動産どの程度で買えるかということをヒアリンングしてきました。」


「確か、8千万円台の半ばくらいと仰ってましたね。」


「はい。大抵の建売業者はその程度なら購入したいと言っていましたが、9千万円なら何とかなるというところが出てきました。大雄ホームという地元で最も力のある建売業者さんです。しかも、もうひと押しで価格を上乗せできそうな感じです。」


「最低でも9千万円台には乗せてもらいたわね。奈々。」
と姉の美樹。


奈々としても、一般のユーザーが出てこない環境にあるなら、当初価格である12500万円に拘ることはできないことは解っていたし、9千万円台半ば程度になれば、売却してもよいのではないかと思い始めていた。


奈々は五十嵐に質問する。

「どの程度価格が上がりそうなんですか?」


「そうですね。200万円〜300万円程度なら可能だと思います。500万円まで上乗せしてもらえるかどうかは、やってみないと分りません。ただ、9500万円なら必ず売りますとお約束いただければ、ぐっと可能性は高まると思います。」


「悪い話じゃないわね。奈々。そう思わない?」


奈々は、美樹の言葉に対して一呼吸置いて考えた。確かに悪い話ではないだろう。無理して一般のユーザーを探したところで、いつまでたっても売れないというのでは意味がない。ただ、今すぐに判断すべきかどうかが判らなかった。しかも、今日は大事な話が二つあるというのだから。


「そうだね。お姉ちゃん。ちょっと考えてみたほうがいいかもしれないね。それで、もうひとつのお話っていうのは何なんですか?」


五十嵐は少々顔をこわばらせながら話をし始める。


「実は、よく判らない筋の業者から買付証明書が送られてきました。」

そう言って、HSリアルティーから送られてきた買付証明書の写しを姉妹に差し出した。


「えっ!?12500万円で買ってくれるんですか!このお話、私たちの希望通りじゃないですか!」

と美樹が興奮気味に声を上げる。


「よく見てください。いろいろ条件が付いてるんです。まず住宅診断を事前にしたいと言っています。診断した結果、問題があれば、売買金額を下げさせてもらいたいとも書いてあります。しかも、この買主はまだこちらの物件を見たこともない。そんな状態で希望価格通りで買うなんて判断を普通の人ができるとは思えないんです。しかも、この買主を連れてきたのはHSリアルティーという不動産業者で、どのような素性かよくわからない相手なんです。」


確かに、まだ建物すら見学していない状態で、こんな紙を出せるというのもおかしな話だし、住宅診断とやらで難癖をつけて値段を下げてくる可能性は極めて高いと奈々は思った。しかし、12500万円という金額がそこには書いてある以上、実際に会って話を聞いてみたいという衝動に駆られていた。


「藤川様、弊社としては、先にお話した大雄ホームをお勧めしたいと考えています。この買付証明の買主も不動産業者も素性が判りませんし、このような買付証明を出してくるということは、強引な方々である可能性があります。そういう相手と取引することは、西京としてお勧めしません。仮にこの買主と契約したとしても、売った後に建物のここに問題があったから直せというような文句をあれこれ付けてくることも考えられます。大雄ホームであれば、弊社との取引実績も多くありますし、買った後は一切文句を言わないという約束を契約条件にすることもできますから安心です。」


「なんだか怖いね。変な人だったら困るわ。。。」

美樹はいつものように心を右往左往させているようだ。


もちろん奈々も、こんな話を聞かされると、いくら希望価格で買ってもらえる可能性があるからと言って、この話に軽々しく飛び乗ることはできないと感じていた。


「五十嵐さん、HSリアルティーの方とはお話されたんですよね。どんな感じの方だったんですか?」


「電話だけなので何とも言えないです。ただ、かなり強引な感じでした。関わると面倒かもしれません。」


「ウェブサイトでHSリアルティーを調べてみました?」


「いえ、調べていません。ホームページを見たところで、何が判るということでもないと思いますので。」


奈々は五十嵐の話を聞くと手元のスマホを取り、グーグルでHSリアルティーを検索してみた。


画面にごく一般的な不動産屋のホームページが現れる。企業概要に代表者のプロフィールがあり、そこには見たことがある文字が並んでいる。


1997
年 京葉義塾大学経済学部卒、東都信託銀行入社。不動産部を経て、2011年 HSリアルティーを設立。


「お姉ちゃん、HSリアルティーの畑中って社長、東都信託銀行にいた人みたいよ。97年入社みたいだけど、知らない?」


「うーん、よくわからないわ。うちの不動産部門の人なら知ってると思うけど・・・」


「明日、会社で聞いてみてよ。そうすれば変な人かどうか解るじゃない。」


このやりとりを聞いていた五十嵐は慌てて言葉をはさむ。


「ちょっと待ってください。あまり時間がないんですよ。大雄ホームも、別の物件を検討しながら藤川様の不動産を検討して頂いていますので、早く回答をしないと折角の話がなくなってしまうかもしれないんです。9500万円なら売ると今ここで決めていただくくらいのスピード感でないと、どうなるか判りませんよ。」


奈々はすかさず切り返す。


「今ここで決めないといけないんですか? 明日の午前中、いや10時まででいいので待ってもらうことはできませんか?明日の10時なら、左程影響はないでしょう。もう既に夜10時を回ってるんだし、その建売業者さんだって、今この時間、五十嵐さんからの回答を待っているというわけではないでしょう?」


「まあそうですけれど。。。でも必ず10時にはどうするか決めてご連絡してください。それ以上は待てませんからね。お願しますよ。」


そう言って五十嵐は席を立った。 人気ブログランキング


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2012年09月11日

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十八話 上司の判断

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十八話 上司の判断


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十八話 上司の判断


第十七話はこちら


「高橋、ちょっと一緒に来い!」


HSリアルティーの畑中からの電話を切った五十嵐は、舌打ちしながら高橋に声をかけると、上司である坪川課長のもとへ足を進めた。


「坪川課長、桜新町の件なんですが、ちょっと面倒なことになりそうなんです。」


「どうした?」


「売主がやっと、建売業者の買い取り価格水準で納得しつつある状況にあるんですが、変な横やりが入りまして・・・」


「横やりって?」


「HSリアルティーっていうよくわからない業者が客付けしてきまして、こんな買付証明書を送ってきたんですよ。高橋がHSリアルティーに所在地を教えてしまったがために・・・」


五十嵐は、その横でこわばって立っている高橋を睨みながらそう言った。


坪川は、そんなことには気づかずに、黙って例の買付証明書を読んでいる。


◆希望価格    1億2500万円(土地・建物価格は別途協議)

◆契約予定日   平成24年○月△日  手付金1000万円

◆決済予定日   契約予定日より1ヶ月後  

◆その他条件   

・買主は、現在お話を進めている別の買主が存すること、そ
 の買主が優先交渉権を持つことを了承します。

・契約前に、建物を見学すること、ホームインスペクション
 (住宅診断)を実施することを条件とします。

・ホームインスペクションの結果、修繕に大幅な費用がかか
 る場合は、売買金額の減額についてご相談させていただく
 場合があります。

・融資条件なし。


五十嵐は、坪川が買付証明書を一読するのを待って口を開く。


「坪川課長、しかもこの買主、HSリアルティーによると、売主に自分の思いのたけを手紙に書いて直接送ると言っているんです。ちょっと普通じゃない買主ですよ。こんな強引なことを言う買主はうちとしても取引できないと思うんです。」


「ほう。うちがこの買付証明書を売主に見せないんじゃないかと思ってるんだな。ちょっと気を付けたほうがいいかもしれんなあ。ところで、この業者と買主からは、何度か建物を見たいという問合せがあったんじゃないか?」


「はい、確かにありました。でも、案件会議でも言った通り、商談中と言うように決めさせてもらいましたんで、建物を見せてはいません。そもそも、どこの馬の骨かわからない業者や買主に、うちの売主を紹介できないですよ。それに、建売業者に売ることで、うちが両手(※)を取り、さらにその建売業者が一般ユーザーに販売するときにも仲介に入ることができれば、うちの手数料を最も大きくできますし。」と五十嵐。


(※)両手とは、売主と買主の間に1社の仲介業者が介在し、双方から手数料を取ること。もしHSリアルティーもこの取引に介在するとなると、西京は売主からしか手数料を取ることができなくなってしまう。


「なるほど。担当者としては正解だな。」


五十嵐は、『担当者としては』という意味を量りかねていたが、黙って坪川の話を聞き続けた。


「ホームインスペクションが条件なんだな。この仲介業者と買主、かなり先進的というか、よく勉強していると思うぞ。ちょっとその辺の仲介業者とは違うかもしれんぞ。」


「どういうことですか?」


「ホームインスペクションは、国土交通省がかなり力を入れ始めているんだ。中古住宅の流通を活性化させるために必要なものとして、注目を浴びつつあるんだよ。」


坪川は続ける。


「恐らく、買主は、うちが商談中といって無理にこの桜新町の物件を見せないようにしているんじゃないかと疑っている可能性があるな。買主が手紙を出すかどうかは判らんけど、万が一届いてしまったらトラブルになるぞ。」


「でも・・・」


「五十嵐さあ、とりあえず、この買付証明を売主に見せて説明してこいよ。もし売主がこの買付証明書を見て、こういう買主とは取引したくないと判断させればお前の勝ちだよ。そうしたら当初の予定通りに進めればいい。仮にそうでない判断を売主がするなら、売主の言うとおりに進めるしかないだろう。」


「解りました。売主には、西京としてはこういう買主をお勧めしたくないとしっかり説明した上で判断してもらいます。」


「まあ、あんまり無理すんなよ。それから高橋、住所の件だが、主担当は五十嵐なんだから、五十嵐から確認をとってから動け。五十嵐のシナリオもあるんだからな。」


「はい。。。」


この一連の行為は、売主に対する背信行為だ。高橋は、そう思う自分の気持ちを押し殺しながら、返事をした。

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2012年08月07日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第十七話 風雲急を告ぐ

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十七話 風雲急を告ぐ


HSリアルティーの畑中は、今村との打合せを終えると直ぐに西京不動産販売の五十嵐あてに買付証明書をファクシミリで送信し、その日の夕刻、五十嵐あてに連絡をした。



「HSリアルティーの畑中と申しますが、桜新町12500万円の物件ご担当の五十嵐さんをお願します。」


しばらくすると、五十嵐が電話口に出てきた。


「もしもし、五十嵐と申します。」


「HSリアルティーの畑中と申します。先日、ご担当の桜新町は間もなくご契約予定だと伺ったのですが、弊社のお客様がどうしても自分の意思を売主様にお伝えしたいと仰るので、買付証明書を作成することに致しました。不躾ながら、先ほど五十嵐さんあてにファクシミリでお送りしたところです。」


「見ましたよ。買付証明書。いくら売主希望価格で買うといっても、あんな変な条件がついた買付証明書なんて、何の証明にもならないでしょう。こっちはもう契約間近なんですよ。今さら余計なことをしないでくれませんか。」


「仰る通りだと思います。でも、どうしても売主さんに気持ちを伝えたいというお客様のお心をご理解頂けないでしょうか。もちろん、契約に向けて御社がお手続きを進めている買主さんを最優先にして頂くことが大前提です。そういう内容の買付証明書とさせていただきました。御社で進めている買主さんが万一契約できない状況になった場合に、弊社のお客様にお声掛けいただければいいんです。売主さんや御社にとっては、万が一の場合の保険としてお考えいただけないかと思っているんです。」


「意味は判りましたけど、こんな奇異な書類、売主さんにお見せできないですよ。そう思いませんか?」


「確かに、買付証明と言いながら、様々な条件がついているのは奇異に映ると思います。でも、物件を見学させて頂けない以上、やむを得なかったんです。弊社のお客様は、外からこの物件を何度もご覧になるほど恋い焦がれています。その気持ちをご所有者様にお伝えすべく、直接お手紙を書こうともしていらっしゃいます。もちろん、契約間近のお相手さんがいらっしゃることを十分に理解していますので、御社で進めている取引を壊そうなんて思ってはいません。」


「直接手紙を出すですって!とんでもない。絶対にそんなことさせないでください。」


「もちろん、私だって、そんなことはしないように諭しているところです。それで今回、この買付証明書を出しましょうという話になったんです。とはいえ、弊社のお客様からすれば、売主さんや貴社に迷惑がかかる行為だとは全く思っていないんです。今いらっしゃる買主さんで進めて頂くことに何ら異議申し立てをするものでもありませんし、単に万が一の場合は声をかけてくださいねということを伝えるだけですから。ですから手紙を止められるかどうかは・・・」


「畑中さん、お宅のお客様はとんでもなく強引なやり方をされる人物ですね。ちょっと普通の属性の方ではないんじゃないかと疑ってしまいますよ。そういう方だとうちは絶対に受けられませんよ。」


「いえ、とんでもない。このお客様は東都海上火災の元役員ですよ。属性としてはピカピカですよ。」


五十嵐はしばらく黙っていたが、一言答えた。


「お話は判りました。しかし、このようなケースはまずないので、上司の判断を仰がせてください。」



畑中は、五十嵐が何を考えているか、ここまでのやりとりである程度読めていた。


もし、今進めている買主が、売主の希望する価格、あるいはそれに近い価格であれば、買付証明書を売主に見せることを拒否しないはずだ。


また、手紙は絶対に出させたくない、ということは、買付証明書を売主に見せるつもりがないことの証左だ。

ということは、かなり安い金額の買主で纏めようとしているか、まだ買主がいないということもありそうだ。


上司の判断を仰ぐといのは、本当かもしれないが、時間稼ぎという可能性もある。つまり、時間を稼いで、今進めている買主で契約させてしまうという方針かもしれない。


「是非、買付証明書を売主さんにお渡しいただけるようお取り計らいをお願します。」


そう畑中は返した。そして釘を刺すように付けくわえた。


「ただ、お手紙を止めるということは保証できませんので、万が一そのようになった場合はご容赦ください。」

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2012年07月19日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第十六話 二番手の買付証明書

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十六話 二番手の買付証明書


ちょうど五十嵐が大雄ホームと打合せをしている頃、HSリアルティーの畑中は、桜新町を購入したがっている今村と打合せをしていた。


畑中は、西京不動産販売から、『数週間以内に契約することになると思いますので、諦めてください』と言われたことを今村に既に伝えていた。


だが、今村はどうも納得がいかないようで、何かいい手はないかと畑中の事務所を訪れていた。


「畑中君さあ、なんとか西京不動産販売さんと話ができないだろうか・・・。既に別の買主がいるとは言え、自分の思いを伝えないままで終わってしまうのは、何とも忍びないんだよね。」


「今村さん、なんだか一目ぼれした女性に恋い焦がれた青年みたいな感じですねぇ。」


「そんな感じかもな・・・」


「正攻法じゃ無理でしょうね。彼女はもう婚約すると仲人が言ってるんですから。」


「正攻法じゃない方法ってどんなもんなんだい?」


「あまりこういう手は使いたくないんですが、今村さんにもご協力いただかないとできないんですよ。」


今村は身を乗り出して畑中の話に食いついてきた。


「二番手で構わないという前提で、売主宛てに買付証明書を出しましょう。」


「買付証明書ってあれか。買主が『この物件をこういう条件で買います』って売主あて、あるいは売側の仲介業者あてに出す紙のことか。」


「そうです。買受申込書っていうこともありますね。それを、二番手で構わないから出させてもらうんです。二番手というのは、万が一、既に契約予定で話を進めている買主さんと売主さんとの話が破談になった場合は、二番手の今村さんが交渉の場に立てるという意味ですよ。」


「買付証明書っていったって、俺は物件をまだ見てないんだ。そんなものにサインできないよ。。。」


「だから条件を付ければいいんです。」


「条件?」


「例えば、桜新町の物件を1億2500万円で買うと表明します。ただし、こんな条件がつきますよっていう感じです。」


そう言うと、畑中は今村に紙を渡した。


そこには、次のような条件が書かれている。


◇買主は、現在お話を進めている別の買主が存すること、その買主が優先交渉権を持つことを了承します。


◇契約前に、建物を見学すること、ホームインスペクション(住宅診断)を実施することを条件とします。


◇ホームインスペクションの結果、修繕に大幅な費用がかかる場合は、売買金額の減額についてご相談させていただく場合があります。


「なるほど。これなら、サインしてもいいかな。ただ、こんないろいろ条件がついてたら、売主は嫌がるんじゃないか?」


「仰るとおりですね。先行している一番手の買主が今村さんと同じような価格水準なら、この紙は即ゴミ箱行きですよ。」


「そりゃそうだな。それならそれで仕方ないよ。諦めもつく。」


「ただ、もし、先行している一番手の買主が建売業者だったら、8000万円とか9000万円という話のはずです。1億2500万円で買ってもらえるチャンスがあるなら、売主はこの条件でもトライしてみようとするんじゃないかと思うんですよ。」


「なるほど。でも、こんな紙、西京が受け取ってくれないだろう。受け取ったとしても売主に渡さないと思うぞ。」


「そうですね。そこで今村さんにもご協力いただきたいんですよ。」


「どんな協力?できることならなんでもするつもりだよ。」


「西京不動産販売さんに私が二番手の買付証明書を持っていくときに、『今村さんはあの土地、特に建物にとてもご興味を持たれており、あの建物を大切に使いたいという気持ちだけでも売主さんにお伝えしたいので、お手紙をしたためようとしていらっしゃる』って言ってしまおうと思ってます。それを私が西京に言うことについてお許しいただければ。」


「そのくらいならいいよ。是非とも欲しい物件だしね。ラブレターみたいなもんだな。」


「実際に書かなくてもいいですよ。言うだけですから。そうすれば、西京はこの買付証明書を売主に見せざるを得ないはずです。」


「なるほど。よく考えたなあ。ここまでやって買えないなら、納得できるよ。いろいろありがとうな。畑中君。」

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2012年07月10日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第十五話 大雄ホーム

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十五話 大雄ホーム


藤川姉妹との打ち合わせの翌日、五十嵐は城南地区で最も有力と言われる建売業者である大雄ホームへ向かった。


藤川姉妹の言葉から垣間見えるニュアンスからすれば、既に12500万円という数字には拘りはなさそうだ。


あとは、みかどハウスと栄建設の提示する8600万円と9000万円という数字に一旦驚いてもらい、五十嵐の努力の結果として、大雄ホームが9500万円〜9600万円程度の価格提示をしたということを藤川姉妹に認識してもらえれば、この物件を落とすことができるだろう。


そう五十嵐は考えていた。



大雄ホームは、この1年、城南地区の建売業界におけるプライスリーダーであるとともに、自己資本比率50%を誇る優良企業であった。他の競合よりも、優位に資金調達ができることから他社に比べて強気の価格を出してきた実績がある。特に桜新町は大雄ホームの地元でもありなおさらである。


この日、五十嵐は大雄ホーム仕入部長である森田と会って、建売業者としては最も高い価格を出してもらうための下地作りをするつもりである。



「どうですか?桜新町の進捗は。12500万円じゃあとても売れないってことが解ってきたんじゃないですか。エンドさんが出てくれば別でしょうけど、今どきそんな優良な買主もいないでしょう。」


森田は一見小柄だが、学生時代に硬式野球で鍛えたがっしりとし体から発せられる声はかなり野太く、迫力がある。


五十嵐は、びびってはいかん、と思いながら背筋を伸ばして答える。


「そうですねえ。売主さんに1億円を切るという判断ができるかどうかはまだ判りませんが、もう一息じゃないかなあと思ってます。」


「五十嵐さんさあ、前にも言ったけど、できれば9000万円ちょっとくらいにとどめてほしいんだよなあ。」


「森田部長、そうはいっても、競合先がないわけじゃないですからね。そのあたりのことは念頭においておいてくださいよ。うちだけで仕切っている案件とはいえ、あんまり安い値段で売却させるわけにもいきませんからね。建売業者として最大の価格を出せるよう準備はしておいてください。」


「競合先って、みかどハウスと栄建設だろう。あいつらとはいつも競合するからなあ。あんまりやつらにふっかけないでくれよな。」


「解ってますよ。ただ、売主は、1億円に近い数字でないと売らないと言うかもしれませんよ。」


「そりゃ無理だよ。五十嵐さんだってわかるだろう。桜新町で売れる上限っていうのがあるんだから。そこから逆算すれば、仕入れ価格の上限もわかるだろうよ。絶対にうちが買えるっていう保証付きだったとしても9200万円〜9300万円くらいまでだよ。」


「そうですか。」

と五十嵐は答えながらも、森田の口から出た金額には多少のストレスがかかっているはずだと感じた。そもそもストレートな金額をこのような腹の探り合いで言うはずはないのだ。


五十嵐はこのとき、大雄ホームには9500万円程度の価格提示をする準備があると強く確信した。


「ところで五十嵐さん、いつもみたいに、絶対に買える値段っていうのは教えてもらえるのかい?」


「今回もそのつもりです。その代わり、御社が販売する際はうちを専任にするってことでいいですよね。」


「解ってるよ。五十嵐さん、よろしく頼むよ。」

 

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2012年07月02日

ミニ小説 〜不動産屋の配信 第十四話 もうひとつの選択肢

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十四話 もうひとつの選択肢


専任媒介契約を締結してから、4週間が経過したその日、五十嵐は藤川邸のリビングにいた。


藤川美樹と妹の菜々を前にして、約1ヶ月にわたる営業活動を報告するためだ。


五十嵐は、他愛のない話を早々に切り上げ、本題に入った。


12500万円という金額は、一般のユーザーが買う価格を想定したものでしたが、約1ヶ月活動してみた結果、これに反応するユーザーは見つかりませんでした。恐らく、藤川様のご所有不動産にぴったり合う一般のユーザーは存在しない可能性が高いと思います。」


「もう少し頑張ってセールスすれば、見つかるんじゃないですか?」


菜々は五十嵐に切り返す。


「弊社グループのネットワークを使い、1ヶ月間セールスしても反応がないということは、これ以上時間をかけても結果は同じだと思います。」


「でも・・・、やってみなければわからないんじゃないかしら。」


姉の美樹が珍しく口を出す。


「確かにそうかもしれません。ただ、マーケットは非常に悪い状況にあります。ご存知のとおり、株価はかつてないほどに低迷しています。景気もよくありません。藤川様のご所有不動産のような高額物件を探す方は、大抵の場合、株式運用をやっていますので、被る含み損なども大きいことが多く、心理的にも弱気になるんです。だから時間をかければよいというものでもないんです。」


確かに、1億円を超える不動産を自宅用として購入するような人は、それなりの株式運用をしている人が多いだろう。最近の株価水準も低迷しているし、これが上昇するという環境にもないことを、美樹も菜々もよく知っていた。


しばらく3人の間には無言の空間が広がる。



その空間に一石を投じたのは五十嵐だった。


「建売業者に売ることも視野に入れませんか?」


「建売業者に売る?」


「はい。価格査定の際にも申し上げたと思いますが、一定期間の販売活動を経過しても一般のユーザーが見つからない場合には、建売業者などに売却することを検討していただくことになると・・・」


奈々は五十嵐のこの発言を覚えていた。自宅の周辺に30坪程度の一戸建てが多くなってきている中で、60坪弱の土地に50坪の中古建物が付いている物件が右から左に売れるわけがないということは、全く理解できないという話ではなかった。


そもそも美樹と奈々にとってこの家を売る目的は、姉の美樹の結婚を機に、姉妹二人には広すぎるこの家から離れ、新しい道に進むということだった。


少しでも手取り額が多いほうがいいに決まっているが、特に借入金があるわけでもないし、建売業者が適正な価格で買い取るというならば、下手に時間をかけても仕方ないのではないかと、奈々は思い始めていた。


とはいえ、叩き売りでは困る。無理に安売りする必要はない。


「建売業者さんに売ると、いくらくらいになるんですか?」


奈々は質問した。五十嵐は頭の中で計算をしているようだ。


一方の五十嵐は、既に地元の有力な建売業者である「みかどハウス」から8600万円、「栄建設」から9000万円の買付申込書を貰っていることを思い出しながら答えた。


「そうですね。恐らく8千万円台の半ば程度になってしまうと思います。」


「そんなに安くなってしまうの?」


美樹はため息交じりに吐露する。


奈々も同感だった。12500万円がいきなり8千万円台になってしまうのだ。


8千万円台半ばと申し上げたのは、ざっと頭の中で計算した金額です。実際にこの界隈で積極的に開発している建売業者に聞いてみないことには、はっきりしたことは判りません。もし差し支えなければ、早速、彼らに聞いてみましょう。」


奈々は黙っている美樹と一瞬目を合わせ、五十嵐に言った。


「そうですね。売るか売らないかは別として、とりあえず聞くだけでも聞いてみてください。」
 

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2012年06月25日

ミニ小説 〜不動産屋の配信 第十三話 内輪もめ

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「誰だ!桜新町の住所を業者に教えたやつは。」


HSリアルティーの畑中と名乗る男からかかってきた電話を切るやいなや、五十嵐は叫んだ。


「私です。すみません。。。」


「高橋、お前かよ。商談中って言えといったろ。なんでそんな余計なことするんだ。」


「すみません。でもこの物件、なかなか一般のユーザーが興味を持つことはないだろうと思ってんですが、かなり本気な感じの話だったので・・・」


「馬鹿野郎!どこの馬の骨が判らないような仲介業者に物件の住所を教えたら、直接所有者のところに行かれちまうだろ。専任媒介の期限が切れるころを見計らって、売主に耳当たりのいいこと言いながら、専任を獲られちまうかもしれないじゃないか。」


五十嵐は堰を切ったようにまくし立てる。


「だいたいから、客がいるなんて嘘かもしれないじゃないか。中小零細の仲介業者なんていうのは、いい客がいるって嘘をついて、俺達大手が苦労して獲得した売主に近づこうとするような連中なんだ。」


「すみません。でも、万が一、本当にいいお客さんだったら、売主さんのためにもなるかもしれないと思って・・・」


「お前な、いいお客ってのは、うちに直接依頼してくれたお客、つまり属性や素性の判っている客のことを言うんだ。その辺の中小零細仲介業者が連れてくる客なんて、仮にいるとしてもろくなもんじゃない。契約したはいいが、ローンが通らないことだってある。もしそういう客と契約して、あとでトラブルになったら、お前、責任を取れるのか?」


「・・・・・」


「とにかく、ここからがすごく大事な時期なんだ。どんなに努力しても、まともな一般ユーザーが見つからないということを売主に説明しながら、建売業者に売るしかないということを理解してもらう段階に来てるんだ。」


「はい。。。」


「それに2社の建売業者からは、買付証明をもうもらってあるんだ。みかどハウスからは8600万円、栄建設からは9000万円っていう買付証明だ。これを使って、売主に売れる最低価格ラインを認識させるんだ。」


「・・・」


「実は既に、一番高い価格を出す力がある大雄ホームと握ってるんだ。栄建設の買付価格に上乗せして買付を出してもらうっていう約束だ。大雄ホームがこの物件を買ったら、2区画の建売で分譲する。その時の仲介はうちでやる約束にもなっている。大雄ホームは9500万円くらいまでなら出せると言っているから、ここで纏めてしまうのが、売主にとっても一番いいはずなんだ。」


高橋は、HSリアルティーの畑中が持っている買主が、かなり真剣にこの物件を検討したがっているような気がしてならなかったが、これ以上五十嵐に反論しても無駄だと悟り、口を噤んだ。
 

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2012年06月18日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第十二話 シャットアウト

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十二話 シャットアウト


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十二話 シャットアウト


レインズや西京不動産販売のホームページには、相変わらず桜新町の物件が掲載されたままになっている。


レインズに登録された日から概ね3週間を経過しているようだ。


畑中はこの間、3度ほど西京にこの物件の状況を確認しているが、日中の電話確認ということもあり、乾いた女性の声で「商談中です」と言われ続けている状況だった。


そんな中、桜新町の物件を自分の目でこの物件を外から見てきた今村は、その感想を伝えるべく畑中に電話をしてきた。


「畑中君、見てきたよ。なかなかいい物件だったよ。駅からのアプローチもいいし、街並みもいいね。」


「そうですか。それで今村さん、先日お送りした価格調査と立地調査はご覧になりましたか?」


「ああ、拝見させてもらったよ。土地は坪あたり200万円くらいなんだな。私もそのくらいかなと思ってたよ。区画の小さい土地だともっと高くなるようだけど、これだけの規模になればこの程度だろうと思うよ。とすると、築10年の建物が500万円で買えるってことだよな。」


「そうなりますね。ただ、建物は図面がないので、何とも言えないですね。本当に買うということになるなら、間取りや実際の造り、基礎や床下、屋根裏の状況、建物の歪具合、外壁や屋根の状態、設備の劣化なんかを契約前に調査しておいたほうがいいですよ。思わぬコストがかかっても困りますしね。場合によっては耐震診断をする必要もありますしね。」


「おお、そうだったね。畑中君のところは、ホームインスペクション(住宅診断)付き仲介だったもんな。」


今村は続ける。


「畑中君のレポートによると、地盤も安心できそうだな。駅から西に歩いてみると、少し上り坂になってるのがよく判ったよ。」


畑中の立地調査によると、桜新町駅の南北はやや凹状になっており、周囲より低くなっている。この物件は桜新町の西に位置しているため、この凹地より高い場所にある。所謂「台地」の上にあるのだ。土地条件図によれば台地の上位面という高台だ。


台地の形成時期は低地よりも古く、一般に高い位置にあるものほど形成時期が古い。また台地は一般に低地に比べ、河床からの高度差が大きいため水害をうけにくく、地盤も良いため震災をうけにくいとされている。


実際、世田谷区の揺れやすさマップを調べると、この物件周辺は、区内の中で2番目の揺れにくさに分類されている。

もちろん、洪水ハザードマップでは浸水該当エリアになっていない。


「いずれにしても、今後の課題は、西京をどうやって口説いて、今村さんに繋げるかですね。」


「この物件、欲しいには欲しいが、畑中君を通して買えないなら、無理するつもりはないよ。」


「そう言って頂けると、動きやすいです。ただ、万が一の場合もありますので、どうしても欲しいのであれば、直接西京に連絡するという選択肢も忘れないでくださいね。」


「解ったよ。」


今村との電話が終わると、既に18時を過ぎていた。


畑中は西京不動産販売に再び連絡する。


「もしもし、HSリアルティーの畑中と申しますが、五十嵐さんか高橋さんはいらっしゃいますか?」


「お待ちください。」


今日は気のせいか、受話器の向こうの声が軽やだ。


「お電話代わりました。五十嵐と申します。」


「HSリアルティーの畑中と申します。お世話になります。五十嵐さんご担当の桜新町の物件ですが・・・」

「ああ、これは商談中です。」


「そのように伺ってるんですが、弊社のお客さんが見てみたいということで、住所だけ教えて頂いたんですよ。実際に見に行ったら、かなり興味をお持ちで・・・」


「すみませんが、数週間以内に契約することになると思いますので、諦めてください。」


そういうと、ぷっつり音が途絶えた。
 

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2012年06月08日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第十一話 下地造り

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十一話 下地造り


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専任媒介契約締結日から2週間。五十嵐はセールス状況報告のために藤川姉妹宅を訪れていた。


五十嵐は1枚の紙を出し、説明をし始める。

「これは、インターネットや新聞折り込みチラシに対する反響と弊社の既存顧客へのセールス結果を示したものです。弊社ホームページに掲載している藤川様の物件情報がクリックされた件数は15件でした。クリックしているのは誰だかは判りませんが、少なくとも一定の興味を持った方が15名はいるということを意味しています。」


美樹と奈々は黙って聞いている。五十嵐は続ける。


「残念ながら、ホームページから物件情報に問い合わせをしてきた方はいらっしゃいませんでした。また、新聞折り込みチラシを通じて問い合わせをしてきた方も、残念ながらゼロでした。例の「この地域で欲しがっている方」にもお話しましたが、やや規模が大きく総額が思いのほか高くなるため、断念するとのことでした。」


奈々はため息をつく。


「ちなみに、そのお客さんが希望されていた規模とか予算はどの程度なんですか?」


五十嵐は、とっさに答える。


「そうですねえ。元々は土地で5060坪というお話だったんですが、いろいろお考えになった結果、40坪から45坪くらいにしたいと仰るんです。ご予算も上限9000万円くらいにとどめたいと仰っていました。残念なんですが・・・」


美樹と奈々は黙り込んでいる。


「藤川様、まだセールスして2週間ですから、そんなに落胆しないでください。西京グループ全体で世田谷の田園都市沿線で探されている全てのお客様に、セールスレターやメールを飛ばしている最中ですので、もう少し待てば何がしかの反応はあるかもしれません。」


「そうね。まだ2週間だものね。もう少し様子をみたほうがいいんでしょうね。でも、もしお客さんが出てこなかったらどうなるんですか?」


美樹は恐る恐る五十嵐に問いかける。


「とにかく、あと2週間は、西京グループの総力を挙げて一般のユーザーさんを探したいと思っています。もしそれでだめならば、その時点においては一般ユーザーは皆無と考えたほうがいいでしょう。その場合、多少売却価格は下がりますが、確実に購入してもらえる先を探したほうが賢明だと思います。もちろん、じっくり時間をかけて一般ユーザーを探すということであれば、それでも構いませんが、あまり長期にわたって物件情報を市場に出しても、鮮度が落ちて売れなくなってしまうという欠点があります。」


「鮮度が落ちるって?」と奈々。


「『時間をかけても売れないということは、この物件は相場より価格が高いんだな』と買主さんたちは認識するんです。そしてそのうち『この物件は、いつか値段が下がるはずだ』と考えるようになるということです。そうなってしまうと、ある程度思いきった値下げをしない限り、売れない状態が続くということです。」


「じゃあ、ちょっとずつ値段を下げることになるんですか?」


「いや、少しずつ値下げすると、まだまだ下がると市場に思われてしまいます。やるならだらだら徐々に値下げせず、1ヶ月経過したところで1割〜2割さげるのが一般的です。藤川様の物件の場合、前にもお話した通り、60坪弱の土地面積で1億円を超える物件です。一般ユーザーで購入できる方は限定的だと思いますので、最低でも2割は下げないと市場に対するインパクトがないと思います。」


奈々は、そうはいっても、まずは西京の総力を挙げてセールスしてもらわないことには納得できないと思い、五十嵐に強く言い放った。


「今は値下げの話は結構です。とにかく、しばらくはこの値段で頑張って買主を探してください。」


「判りました。とにかく頑張ります。また2週間後にご報告に伺います。そのときはもう少しよいご報告ができるよう頑張りますので、暫しお待ちください。」


「もう少しよい報告」という言葉に奈々は違和感を感じながら、五十嵐を見送った。
 

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2012年06月01日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第十話 囲い込まれた桜新町

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第十話 囲い込まれた桜新町


HSリアルティーの畑中は、クライアントの今村に頼まれた桜新町の案件を取り扱っている西京不動産販売に電話をする。


「もしもし、HSリアルティーの畑中と申します。物件確認なんですがよろしいでしょうか。桜新町の1億2500万円、60坪弱の物件なんですが。」


「商談中です。」

そう答えた受話器の向こうの女の声は、事務的で無機質だ。


「そうですか。実は、ご興味をお持ちのお客様がおりまして、外からだけでも見たいと仰ってるんですよ。もちろん、先行しているお客様がいることはきちんと伝えますし、ご迷惑はおかけしませんので、住所だけでも教えていただけませんか」


「担当でないとお答えできないので、担当に連絡してください。ただ申し訳ありませんが、担当は外出中なので、5時以降に連絡していただけませんか?」


「ご担当のお名前は?」


「五十嵐か高橋です。」


「分かりました。また連絡させていただきます。」


畑中は、「ふっ」と溜息をつきながら受話器を置く。

「商談中」ということは、普通に考えれば「契約に向けて諸条件を交渉している最中」ということになる。

したがって、無理に食い下がっても仕方がない。とは言え、担当者に直接話を聞かないことには始まらない。



午後5時を過ぎたころ、再び西京不動産販売に電話をする。


「もしもし、HSリアルティーの畑中と申しますが、五十嵐さんか高橋さんはいらっしゃいますか?」


「はい、私が高橋ですが。」


「ご担当されている桜新町の土地なんですが、うちのお客さまが興味をお持ちで、一度、外から見てみたいと仰っているので、物件資料を頂けませんか。それと住所も教えていただけるとありがたいんですが。」


「すみません。商談中なんですよ。」


「先ほどもそのように伺ったんですが、うちのお客さんには、先行しているお客様がいることをきちんと伝えますから、住所だけでも教えて頂けませんか。」


「そう言われましても・・・」


「なんとかお願いします。御社や御社のお客様にご迷惑をおかけしませんので。」


「分かりました。住所だけですよ。」


「ありがとうございます。助かります。」


受話器を置いた畑中は一つの確証を得た。


この案件、商談中とはいえ、どうなるか全く分からない状態にある。あるいは、具体的な購入候補者がいない可能性もある。つまり「商談中」というのは嘘である可能性がある。


もし、商談中で契約できる可能性が高いのであれば、たとえ物件の住所を聞かれたとしても、担当者は絶対に教えてくれるはずがない。契約できそうな状況であれば、商談中とは言わず自信を持って「契約予定です!」と言ってシャットアウトするはずだ。



なんとか住所を聞き出すことができた畑中は、今村に一報を入れる。


「今村さん、先ほど西京不動産販売の担当と話ができましたよ。」


「どうだった?」


「商談中と言われましたよ。どうも先行して検討している買主さんがいるようなんですよ。本当かどうかは分かりませんけどね。」


「どういうことだい。」


「今村さんは、この桜新町の物件を西京不動産販売のホームページで見つけたんですよね。」


「そうだけど?」


「もし、今村さんが直接、西京不動産販売に電話したら、すぐに担当者が駆けつけて、この物件の案内をしてくれる可能性があるってことですよ。」


「???」

今村は全く理解できない様子だ。


畑中は続ける。


「もし今村さんが、この物件を西京不動産販売を通じて買ったら、誰に仲介手数料を払うことになりますか?」


「そりゃ、西京だろ。私はいやだけどね。畑中君を通じてじゃなきゃ買うつもりがないからな。」


「有難うございます。ここは「仮に」という話ですよ。仮に、西京を窓口にして買うことになれば、今村さんは西京に仲介手数料を払う。そして桜新町の売主も西京に仲介手数料を払う・・・」


「ああ、そういうことか。畑中君を通じて私が買いたいと言っても、西京は嫌がるわな。収入半減だしな。」


「そういうことです。これが事実かどうかは分かりませんが、本当に契約できそうな案件なら、住所を教えるとは思えないんですよ。」


「なるほどな。しかし、もし西京が売主・買主両方から仲介手数料を取ろうとしているなら、この物件は絶対に西京からしか買えないじゃないか。まるで「囲い込み」だな。どうすりゃいいんだい。」


「難しいですね。最悪、西京から買うしかないかもしれませんね。うちはコンサルティングという形でお手伝いさせて頂くという方法はありますが、それだと今村さんの負担が大幅に増えてしまいますしね。」


「そういうことであれば、無理して西京からは買わないよ。別の物件を探すか・・・」


「いずれにせよ、まずは外から物件を見てみてください。住所はメールでご案内しておきますから。僕は1週間おきにこの物件の状況を確認しますよ。恐らく、しばらく話は進まないと思いますしね。」
 

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2012年05月18日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第九話 HSリアルティー畑中翔麻

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第九話 HSリアルティー畑中翔麻


日本橋丸善のほど近くにある古いビルの一室。HSリアルティーの代表を務める畑中翔麻の携帯が鳴る。


「はい、HSリアルティーの畑中です。ああ、今村さん、お世話になります。」


「ちょっと気になる物件があってね。西京不動産販売のホームページに掲載されている桜新町の物件なんだがね。」


畑中は、大学卒業後、東都信託銀行に入社。10年ほど不動産部門で働き、部門のエースとして活躍後、HSリアルティーを創設した男だ。


東都信託銀行在職時代から、彼は中古住宅取引の世界には多くの問題があると長年感じてきた一人だった。


例えば、中古住宅を買う時は、建物を事前に調査することもなく、建物の状態に問題がないかどうか判らないまま買わなければならないことや、売物件情報がスムーズに購入検討者に流れない仕組み、強引な営業や営業担当者の不勉強によるトラブルなど、問題点が多いと強く感じていた。


それらを改善することをライフワークとしたいという思いで、彼は4年前に一念発起し独立起業したのである。



畑中に電話をしてきた今村は、畑中のそんな考え方に賛同しているクライアントの一人だった。不動産のこととなるといつも畑中に相談を持ちかけている。


今村は、東都海上火災の役員を退任したばかりで、予てより自宅の買換えを検討していた。


今村はこれまで、大手や中堅の不動産会社に自宅探しを依頼してきた。しかし、どの会社からも同じ物件が紹介されることが多く、またインターネットで物件を検索しても、ほぼ物件は重複しており、非公開の特別な物件などは事実上存在しないことを熟知していた。


どの不動産会社を使っても入手できる情報が同じであれば、自分にとって安心できるエージェントを選びたいと思っていたときに、とある案件で畑中と出会い、それ以来、畑中をエージェントとして利用しているのだ。


そして今村は、インターネットを検索しながら自分で気に入った物件を見つけては、畑中に意見を聞くというスタイルを採っている。



「桜新町の一戸建てですか。」


「うん、そうだよ。どうも1週間ほど前に西京のインターネットに掲載されたばかりみたいだ。土地が60坪弱で古家ありとなっている。価格は12500万円だよ。西京不動産販売に連絡して、住所を聞いておいてくれ。外から見てみたいから。」


「判りました。それと、いつも通り、価格水準の調査と立地調査をしておきますよ。」


「よろしく頼むよ。」



畑中は、早速、西京不動産販売のホームページをチェックする。


「この物件か。」


そうつぶやくと、レインズと呼ばれる不動産業者しか利用できない物件検索サイトを開いた。


不動産会社が売主と専任媒介契約を締結した場合、その物件を必ずレインズに登録しなければならないことになっている。一般媒介という他の不動産会社にも買主探しを依頼できる契約の場合は、レインズに登録する必要はない。
しかし一般媒介契約は、複数の不動産会社が競合することになるため、競争上、結果としてレインズに登録せざるを得なくなる。

つまり、この世の中に存在するほぼすべて売り物件は、このレインズというサイトに登録されるシステムなのだ。


レインズを検索すると、桜新町の物件が登録されていることが確認できた。しかし、通常は掲載されているはずの物件資料がない。文字情報だけの登録になっている。


「囲い込みか。。。」


畑中はつぶやく。


レインズは、他の業者に売り物件の存在を広く知らしめ、スムーズに買主と売主を結び付けるために国土交通省が指定する指定流通機構が運営しているものだ。

が、敢えて物件資料を登録しないというのは、他の不動産業者から買主の紹介を受けるつもりがないのかもしれない。文字情報だけの登録でも法的には問題はないため、文句を付けるわけにもいかないのだ。


「とりあえず、西京に電話してみるか。。。」

 

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2012年04月25日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第八話 販売開始

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第八話 販売開始


金曜日の夜、五十嵐は約束通り藤川姉妹の自宅へ訪問した。


「こんばんは。遅い時間にすみません。しかも金曜日の夜だというのにお時間を頂くことになりまして、本当に申し訳ありません。明朝の新聞折込チラシで大々的に広告しますので、どうしても今日中にご説明しておきたくて。」


「いいんですよ。」と姉の美樹。


「まずは、先日お借りした図面はお返ししますね。それから、本日付けで契約となる専任媒介契約書の1通をお返しします。」

五十嵐は続ける。


「専任媒介契約の媒介期間は今日から3ヶ月なので、なんとかその間に良いお客さんを探します。まずは、こちらの新聞折込チラシを明日土曜の朝刊で配布します。」


新聞に折り込まれるというチラシはカラー刷りで、表側の紙面全体に藤川姉妹の所有不動産が美しく掲載されている。裏面には他の売り物件がいくつか掲載されていた。


「それから、弊社のホームページにも掲載します。最近は、ホームページを経由した買主さんからの問い合わせが増えていますので、かなりの集客が期待できると思います。また、リアルタイムで何人くらいの方がこの物件をクリックしたか、資料請求をしてきたかも判りますので、販売戦略のアドバイスも的確に行うことができるんですよ。」


姉の美樹は感心しながら頷いている。

一方、奈々はといえば、何かが引っかかっている表情を醸し出していた。もともと自分達が西京不動産販売に売却の依頼をしたのは、『この地域で中古一戸建てを探しているお客様がいます。急いでいますので相場より高く買います!』というチラシを投函してきたからだ。


「新聞折込チラシはいいんですけれど、急いで探しているという買主さんはどうなったんですか?」


「ああ、そのお客さんですか。媒介契約の日付は今日なので、その方にお話しするのはまさにこれからです。明日にはそのお客さんにご連絡してみますね。」


五十嵐はよどみなく回答したが、奈々にとってはどうも腑に落ちない。急いでいるお客がいるなら、新聞折込チラシやホームページへの掲載云々ではなく、まずはその買主の話をするのが筋だと感じていたからだ。

五十嵐は特に他意もない表情をしながらも、「実はそんな都合のよい客はいない」ということを悟らせぬよう平静を装っていた。


もちろん、この地域で探しているお客がいないわけではないし、桜新町限定とまでは言わないにせよ、沿線で探してはいる買主は少なからずいる。だから、例のチラシが全くの嘘とういことではない。

また、買主は一般のエンドユーザーだけではない。建売業者も買主ターゲットのひとつではある。建売業者の場合、一般のエンドユーザーが購入する価格より安くなってしまうが、建売業者の中ではかなりの高値で買うという客もいる。

五十嵐はそんなことを思いながら、口を開く。


「いずれにせよ、そのお客様の他にも弊社には良いお客様が多くいらっしゃいますので、明日から頑張ってセールスさせていただきますよ。」


美樹は相変わらずニコニコ頷いている。


一方の奈々は、まだどこか不安な気持ちがどこかに残っているような気がした。
 

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2012年03月15日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第七話 案件会議

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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第七話 案件会議


西京不動産販売三軒茶屋支店では、毎週月曜日の朝から店内の支店長以下、営業担当者で先週の活動報告、今週の活動予定、案件報告などをおこなう。


五十嵐は、藤川姉妹が所有する桜新町の案件資料が参加者に行き渡るのを確認し、説明を始めた。


「この物件は、敷地面積60坪弱程度の住宅用地です。建物は築10年ですが、この規模になると、買主ターゲットはかなりの高所得者層に限定されますし、そういった所得者層の場合、新たに自分好みの建物を建てたいというケースが殆どだと思います。よって、建物付きではありますが、土地売り前提でセールスを開始して下さい。」


別の担当者から意見がでる。


「高所得者といっても、うちの店に来ている1億円以上の買い情報は数えるほどしかなかったと思いますよ。その顧客がだめだったらどうするんですか。早めに建売業者に情報提供しておいたほうがいいんじゃないですか。」


会議に参加している担当者たちの視線が五十嵐に集まる。


五十嵐以外の担当者達も、一般のユーザーでこの物件が決まるとは思っていない。できれば自分達も手っ取り早く建売業者にこの物件を紹介して、成果を上げるチャンスを得たいのだ。


「恐らく現実的な買主ターゲットは建売業者になるでしょう。大雄ホーム、みかどハウス、栄建設は私が持ち込みます。それ以外の建売業者に持ち込みたい場合には、私に一度ご相談ください。」


会議に参加している担当者たちから嘆息が漏れる。この地域で本命と目される建売業者が全て五十嵐に押さえられてしまっているからだ。


五十嵐からすれば、同じ店内とはいえ、同僚に買主を紹介されてしまえば自分の成績は半減してしまう。歩合の度合いが高いがゆえに、出来る限り自分だけで案件をまとめ上げたいというインセンティブが強く働くのだ。


五十嵐は続ける。


「仰る通り、エンドユーザーで購入できる顧客は極めて少ないと思いますが、店内のエンドユーザーにまずは持ち込んでください。ちなみに、今週金曜日に専任媒介を結びます。その日のうちに当社ホームページに物件を掲載し、翌日の土曜の朝刊に折り込みチラシを入れる予定です。レインズへの登録は来週の金曜日になります。それまでの間に、可能性がありそうな一般エンドユーザーに徹底的にセールスしておいてください。」


レインズへ登録すれば、即座にこの物件が首都圏にある不動産業者すべてに知らされることになる。その前に購入してくれそうな買主候補全てにセールスしておけば、他の不動産業者に買主を探索される可能性は低くなる。


五十嵐の説明が終わったところで、五十嵐の後輩である高橋が質問する。


「ところで、レインズに他の不動産業者から問合せがあった場合はどうしますか?」


「原則として商談中と回答してください。」


「買主を連れて案内したいと言われてもですか?」


「商談中で構いません。」


五十嵐は言い切った。


高橋はいつものこととはいえ、「商談中」という言葉にどこかむなしさを感じていた。


他の不動産業者が、この物件に興味を持つ買主を連れてこようとしているにも関わらず、西京不動産販売が勝手に売主と買主が繋がることを遮断してしまうからだ。


高橋はこの行為が、本当によいことなのかどうか常に疑問に思っていが、背に腹は代えられないとも感じていたし、どの不動産業者も行っている行為と聞かされていた。


高橋はこれ以上、何も言うことができなかった。



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2012年02月16日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第六話 策略

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第六話 策略


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第六話 策略


事務所に戻った五十嵐に、上司の坪川課長が声をかける。


「どうだった、例の桜新町の案件は。」


「ちゃんと専任取ってきましたよ。」


「媒介価格はいくらだったけ?」


「媒介価格は12500万円にしときましたよ。ただ、1億円を超える案件ですから、買主とすれば自分で気に入った建物を建てたいでしょうね。そうなると、解体費まで考えなければなりませんから、ちょっと高いもしれませんね。まあ、他の業者に専任媒介契約を取られるわけにもいきませんから、多少強気の値付けにしときましたよ。」


「なるほどな。じゃあまずは、うちの支店内で持っている買主にセールスだな。」


「そうですね。」



五十嵐は、坪川課長との会話を終わらせると、藤川姉妹から入手した書類を手に後輩の高橋に声を掛けた。


「この書類でセールス用の物件概要書を作っておいてくれ。明日中にな。月曜の案件会議でみんなに出すからさ。それと、次の土曜日の朝刊に折り込みチラシも入れるから、その準備もしておいてくれよな。」


「わかりました。ところで、この案件、専任ですよね。レインズ登録はどうしますか?」


「媒介契約の日付は次の金曜日になるから、翌週の金曜日に登録しといてくれ。」


専任媒介契約というのは、ひとつの仲介業者が独占的にその売り物件情報のセールスを委託されるものだ。


この契約を仲介業者が締結した場合、その物件が速やかに市場に流通するよう国土交通省が指定する東日本不動産流通機構というところが運営する不動産業者専用の物件検索サイトに、媒介契約日から7日以内に登録する義務がある。これは宅地建物取引業法できちんと定められている。


このサイトは通称レインズと呼ばれており、これに物件を登録した段階で首都圏に存在する約65700事業所の仲介業者に売り物件の存在を知らせることができる。


売り物件の存在を知った他の仲介業者は、自分の手持ちの買主に物件を紹介したり、自社のホームページに物件を掲載したりしてその物件の買主探しをする。したがって、一社で買主探しをするより、極めて広範囲にかつ効率的に買主探しができるというものだ。


しかし、レインズに登録し他の仲介業者が買主を見つけくれた場合、五十嵐が受け取る手数料は売主の藤川姉妹からのみとなる。


五十嵐からすれば、自分で直接の買主を見つければ、売主である藤川姉妹からだけでなく、買主からも手数料を受け取ることができる。


したがって、レインズへの登録日をぎりぎりまで引き延ばし、その間に自分の手元にある買主で取引をまとめてしまいたいのだ。

ちなみに余談ではあるが、専任媒介契約を結びレインズに登録したら「登録証明書」なるものがシステム上発行され、この「登録証明書」を仲介業者は売主に渡さなければならない。いわば、『きちんとレインズに登録しましたよ』という証明だ。しかし、この「登録証明書」を売主に渡した直後にレインズ登録を抹消するとい仲介業者もいるので注意が必要だ。 



五十嵐は高橋に指示を続ける。


「それから、大雄ホーム、みかどハウス、栄建設には必ず物件を紹介しておいてくれ。それで、いくらなら買えるか聞いといてくれ。」


大雄ホーム、みかどハウス、栄建設は用賀から三軒茶屋界隈で勢いのある建売業者だ。


藤川姉妹が所有する物件は1億円を超える物件であり、一般のエンドユーザーが簡単に出てこない可能性が高い。仮に、一般のエンドユーザーが出てこないようであれば、たとえ売却価格が安くなったとしても、このような不動産業者への売却も視野に入ってくるのだ。



一通りの指示が終わると、五十嵐は藤川姉妹とのアポイントのために電話に手を伸ばした。


「もしもし、西京の五十嵐でございます。先ほどはどうもありがとうございました。次の金曜日の夜ですが、お時間があればお伺いさせてください。お預かりした書類もお返しさせていただきます。それから押印した媒介契約もお持ちしますので。その際に、藤川様のお宅の売却方法についてもご説明させていただきますね。」


アポイントを取った五十嵐は、ひと仕事終えたような笑みを浮かべ、家路についた。



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2012年01月27日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第五話 専任媒介契約

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第五話 専任媒介契約


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第五話 専任媒介契約


五十嵐は、菜々の眼の前に書類を差し出した。


そこには「専任媒介契約」と書いてある。


おっとり型の美樹でさえも「契約書」という文字に対し、少々不安な表情だ。となれば、相手に突っ込みを入れるのはいつもの通り菜々の役割だ。


「契約書の内容について、きちんとご説明いただけませんか。」


「もちろんです。これは媒介契約書というもので、お客様が不動産の売却の依頼を不動産業者にする際の契約です。この契約を結ばないと、宅地建物取引業法上、不動産業者は買主探しのお手伝いができないルールになっています。裏面の約款は国土交通省の標準約款ですからご安心ください。」


「国土交通省が定めたものなんですね」

紙面一杯に細かい文字で書かれた約款を眺めながら美樹がつぶやく。


「そうです。どの不動産業者でも同様のひな形を利用しているはずですよ。まあ、中には勝手に書き換えている業者もいるかもしれませんが、うちは財閥系大手ですから、ご心配なさらなくても大丈夫ですよ。」


確かに、この媒介契約書は西京不動産販売のロゴが入ったひな形だ。下手に改ざんすることなどないだろう。


菜々は、自分が勤める西京商事と同じグループである西京不動産販売なら、さほど心配しないでもいいだろうと思ってはいるものの、念のため聞いてみた。


「専任というのはどういう意味ですか?」


「専任というのは、弊社だけに売却活動をお任せいただくということです。他の不動産業者さんにも売却活動を依頼できる一般媒介というものもありますが、この場合、弊社としてはお客様の不動産に対して十分な広告宣伝費をかけることができないんです。また、専任媒介ならば弊社の優良なお客様だけをご紹介できます。一般媒介ですとどこの馬の骨か解らない買主さんと取引しなければならないというリスクもあります。ですから、弊社では専任媒介をお勧めしています。」



西京不動産販売からすれば、一般媒介契約では意味がない。別の不動産業者にこの売り物件を奪われては折角の収益機会を逃しかねないからだ。

特に買主探しが簡単な人気物件であればなおさらだ。本来、買主探しが楽な物件なら、広告費をさほどかける必要もないのだが、専任媒介を売主に選択させる目的で「十分な広告費をかけられる」というセールストークを使う。

さらに、専任媒介をさらに強く勧めるために、「どこの馬の骨か判らない買主」との取引リスクについて強調する。西京不動産販売以外の不動産業者が連れてくる買主は、西京としては素性が判らないという意味だが、ここにもウラがある。

実は、専任媒介でも自社で買主を見つけることができなければ、他の仲介業者に買主探しを頼ることになるため、この言い回しは、単に一般媒介を売主に選ばせないための口上なのだ。

しかし仲介業者がこんなことを考えていることなど、売主は知る由もない。


美樹が頷きながら五十嵐の話を聞いている脇で、菜々は、西京不動産販売だけに売却活動を任せるのはどうかと少々思ったが、西京グループならトラブルになるリスクはないだろうと感じていた。


「藤川様、特にご異論がなければ、こちらにご記名ご捺印ください。それから、契約期間は3ヶ月になりますので、それまでには何とか優良なお客様を見つけます。」


奈々と美樹が書類に記名押印を終えるところで、五十嵐は言った。


「ところで、買主探しのための物件資料作成のために、土地の測量図など書類が必要なのですが、お手元にございますか。」


「それならこちらにまとめてありますよ。」


奈々はファイルにとじ込まれた書類を五十嵐に手渡した。


「よろしければ本日こちらをお預かりさせていただき、セールス用の物件資料を早急に作成させてください。物件資料が出来上がりましたら藤川様にお届けしますので。その際に、この媒介契約書に弊社が押印したものを一通をお持ちしますね。」


「えっ。今日は媒介契約書にサインしてもらえないんですか。」


契約書なのだから、記名押印は同時にするのが当然だ。


「申し訳ございません。弊社はリスク管理の観点から印鑑の持ち出しが禁止されておりますので、どうかお許しください。実際、セールス活動を行うにしても物件資料が完成しないとできませんし。」


「構わないわよね。奈々。」と姉の美樹が安心しきった顔で微笑んでいる。


「そうだね。お姉ちゃん。じゃ、判りました。」


「それでは、例のチラシのお客様へのご紹介を含め、一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします。」


こう言う五十嵐を奈々と美樹は玄関から見送った。


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2012年01月09日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第四話 価格査定

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第四話 価格査定


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第四話 価格査定


土曜日の昼下がり、藤川家の呼び鈴が軽やかに鳴った。


「西京不動産販売の五十嵐でございます」


インターフォンに出た藤川菜々は、五十嵐を玄関に招き入れる。


藤川邸の玄関を入ると、モリディアーニだろうか、女性の肖像画が眼前に現れる。続いて眼を上に向けると大きな吹き抜けの空間が広がる。菜々は、五十嵐が玄関の様子を鑑賞するのを少々待ってから、姉の美樹が控えるリビングへ五十嵐を案内した。



五十嵐は美樹と菜々に挨拶を済ますと、鞄からレポートを取り出した。


「さっそくですが、藤川様のご自宅の価格査定をして参りましたので、簡単にご説明させていただきます。」


手渡されたレポートはA4サイズ3枚分だ。五十嵐は15分程度かけて簡単に説明したが、美樹や菜々にとって具には理解できない内容だった。二人に理解できたことは、土地が12500万円、建物が0円ということだった。


姉の美樹は、解ったような解らない様な顔で五十嵐の話を聞いている。美樹は、長女とはいえおっとり型で、菜々とすれば少々頼りない面があった。一方の菜々はその逆で、幼いころから何事にも積極的ではっきりと物を言う少々気の強い面のある女性だった。だからこそ、藤川姉妹にとって一大事業となる自宅売却の仕切り役は、菜々が担うのが当然であった。


菜々は、土地の査定額については、自分がインターネットで調べた水準からするとやや高めではないかと感じていた。一方建物については、0円ということはあり得ないと感じた。自宅に残っていた建物請負契約によると、請負金額は3000万円程度だった。築10年だからといって、0円ということはないのではないか。しかも、五十嵐は、今日初めてこの建物を見たにも拘わらず0円と言い切っている。


「土地の値段は納得感があるんですけど、建物が0円というのはどういうことですか?」


五十嵐は答えた。


「一般的な一戸建の規模は30坪程度です。お宅のように50坪の建物となるとかなり大きな規模になりますので、購入する方は限られます。通常、この規模の建物をお買い求めになる方は、それなりのお金持ちでしょうし、そういう方は自分の好きなように建物を建てたがります。つまり大型の中古建物は極めて売りにくいんです。藤川様の建物はとても立派ですが、そういったお金持ちの方々が、この建物を気に入るかどうかは分かりませんし、気に入らなければ逆に解体費がかかるということになります。」


さらに五十嵐は続ける。


「本来、この周辺で一般的に売れる規模である30坪程度の土地の場合、その土地相場は1坪あたり200万円といったところです。藤川様の土地は60坪弱ありますから、規模的には倍の大きさになりますので、1坪あたり200万円より安くなるはずです。しかし、藤川様のご所有土地は立地も環境もよいので、周辺相場よりも少々高めの水準で販売活動をしてみる価値があると考え、今回のような査定結果に致しました。ただし、一定期間の販売活動を経過しても、この水準で買主が見つからない場合には、建売業者などに売却することを検討していただくことになると思います。」


確かに、菜々としても自宅周辺の新築建物はずいぶん小さくなっている気がしていた。自分の家がかなり大きな家であり、昨今の景況感からすれば簡単に売れる建物ではないことは感覚的には理解できた。


とはいえ、元々は「
この地域で中古一戸建てを探しているお客様がいます。急いでいますので相場より高く買います!」というチラシを入れてきたのは西京不動産販売なのだ。西京不動産販売の考えではなく、この周辺で相場より高く買うという買主が、自分の物件に対してどのような評価をしてくれるのかをまずは知りたい。もしかすると、その買主は、この土地だけでなく建物も気に入るかもしれないのだ。


「チラシのお客さんはどうなんですか」

と菜々は切りだす。


すると、五十嵐はこう言った。
 

「チラシのお客様だけでなく弊社の優良顧客に対して、早急に藤川様のご所有不動産をご紹介したいと思っておりますが、法律上、媒介契約を締結してからでないと、セールス活動ができないルールになっています。まずは、この書類にサインをしてほしいのですが。」


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2011年12月24日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第三話 都合のいいシナリオ

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第三話 都合のいいシナリオ


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第三話 都合のいいシナリオ


「もしもし、お電話代わりました。担当の五十嵐と申します。」


「あっ、私、藤川と申します。先日、御社のチラシが投函されてまして、このあたりで一戸建てを探している方がいらっしゃるそうですね。」


「はい、左様でございます。弊社のお客様は桜新町駅が利用できる立地限定で探していらっしゃいます。藤川様はご売却の検討をなさってらっしゃるんですか?」


「まだはっきりと決めたわけじゃないんですけど、場合によっては売ろうかと思ってるんです。その方だったらどの程度で買っていただけるのかしらと思って・・・。」


『求むチラシ』で引っかかってきた顧客というのは、仲介業者にとって「必ず売ってくれる客」ということを意味するオイシイ客だ。しかしまずは、藤川という客の所有不動産の所在地を特定し、競合他社に出し抜かれぬよう可及的速やかに物件情報を押さえなければならない。


「それでしたら、ご住所をお聞かせいただけませんか。直ぐに査定して次の土曜日にお伺いしてご説明させていただきますので。」


「判りました。じゃあ、次の土曜日の午後2時にお願いしますね。」



住宅地図を聞いてみると、藤川という客の家は桜新町から5分程度の閑静な住宅地にあるようだ。しかも南道路に面した形のよい敷地で60坪ほどありそうだ。ざっと見積もっても土地だけで12千万円程度はするだろう。


とすると、この客から取れる仲介手数料は、ざっと380万円(12千万円×3.15%+63千円)だ。


五十嵐は更に頭の中で計算を続ける。


買主も自分でみつければ、買主からさらに380万円、合計で720万円の仕事だ。


待てよ・・・。土地の規模が60坪もある。一般の個人で1億円を超える不動産を買う人は決して多くない。時間をかけて買主を探すより、建売業者に買わせたほうが効率的だ。


建売業者なら9千万円くらいまで価格は下がるが、五十嵐にとっては美味しい話になる。


なぜなら、建売業者が一般個人に対して販売する際にも仲介に入れるからだ。


つまり、藤川という売主から仲介手数料として約290万円(9千万円×3.15%+63千円)、買主となる建売業者からも同額を受け取る。これでまずは580万円。


次にこの土地を買った建売業者は、土地を二つに割って新築建物を建てて販売することになるだろう。1戸あたり8千万円で販売するとすれば、売主となる建売業者からは仲介手数料として約520万円((8千万円×3.15%+63千円)×2戸)と、最終的な買主からも同額を更に獲得できる。この取引で1040万円。


つまり最終的には合計で1620万円の仲介手数料になる。まさに「一粒で二度オイシイ案件」だ。


藤川という客は絶対に逃がしてはならない客だと確信しながら、如何にしてこのシナリオに藤川という客を乗せていくか思案する五十嵐だった。
 


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2011年12月12日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第二話 西京不動産販売 五十嵐一樹

ミニ小説 〜不動産屋の背信 
       第二話 西京不動産販売 五十嵐一樹


西京不動産販売は、財閥系西京グループの雄である西京不動産の子会社である。


主に、一般中古住宅の仲介や戸建分譲素地、収益アパートなどの売買仲介を手掛けている会社である。簡単に言えば、売りたい人と買いたい人の仲人業だ。


五十嵐一樹は明月大学卒業後、この就職氷河期に何とか財閥系列の不動産会社に就職することができた入社5年目社員だ。いわば、仕事にも随分慣れてきた中堅社員というところである。



「五十嵐。今年もだめだったらしいな。」

こう声をかけたのは上司の坪川だった。

「何すか?課長。」


「宅建だよ。お前、また不合格だったんだろう。」


「ああ。宅地建物取引主任者試験ですか。しかたないですよ。殆ど勉強してないし。だけど、宅建なんて関係ないでしょ。資格があっても稼げなきゃ意味ないですしね。無駄な資格取得のために時間を割くくらいなら、『求むチラシ』を配ってたほうがいいですよ。」


「まあ、そうだな。資格オタクより稼ぐやつのほうが重宝がられるしな。ただな、ないよりはあったほうがいいぞ。今度は頑張れ。」


五十嵐は、軽くいなしつつ頷いたものの、頭の中では、資格の事など眼中になかった。


この業界では、資格を取ったからといって給料が上がるわけではない。稼いだ仲介手数料に応じてボーナスや給料の多寡が決まる仕組みだ。

だからこそ、常に新しい客、特に売主を獲得するために、『求むチラシ』を担当地域に配りまくる。これが一番効率的なのだ。


『求むチラシ』というのは、「この地域に不動産を探している人がいますので、売却を検討しているなら当社に声を掛けてください」という類のチラシだ。


ちなみに、この手のチラシは、本当に客がいるとは限らない。


ただ、西京グループであれば大手として大々的にテレビCMなども行っていることから、ちょっとでも売却検討している人ならば、大抵の場合、チラシを信用して電話を掛けてくる。


こういう売主を手っ取り早く獲得する最もシンプルな手段が『求むチラシ』だ。



「五十嵐さ〜ん。お客様からお電話です。」


事務の女の子から声がかかる。受話器から聞こえてきたのは若い女性の声だ。


「あのー、私、藤川と申しますが、先日、御社のチラシが入ってまして。。。」



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2011年12月04日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第一話 藤川姉妹

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第一話 藤川姉妹


「もう一年かあ。お父さんが死んでから・・・。」


藤川菜々は姉の美樹にしみじみと語りかけた。


菜々と美樹は、かつては家族四人で過ごしていた家に二人で住んでいる。


その家は、菜々が高校二年生のときに父隆弘が新築した家だったが、母の正子は菜々が大学三年のときに他界、父隆弘も昨年他界した。


世田谷の桜新町駅から程近い閑静な住宅地に建つその家は、延床面積50坪ほどの2階建で、二人にとっては広すぎるものだった。


「菜々。私、思うんだけどね、そろそろ私たち、別々に生活したほうがいいと思うの。前にも相談したけど、この家を売ったほうがいいんじゃないかと思ってるのよ。」


「そうだね。一周忌も終わったことだし、お姉ちゃんもそろそろ結婚だもんね。ちょっと寂しいけど、売ったほうが私たちのためになるかもね。」


姉の美樹は東都信託銀行事務管理部に勤めている。同じ信託銀行の先輩と近いうちに結婚することについては、亡き父隆弘も公認のことだった。



「そういえば、最近、よく不動産屋さんのチラシがポストに入ってくるんだけど・・・」


美樹は菜々に一枚のチラシを見せた。


『この地域で中古一戸建てを探しているお客様がいます。急いでいますので相場より高く買います!』
と大きな目立つ文字で書いてある。 


「相場より高く買ってくれるんだ。西京不動産販売三軒茶屋支店っていうことは、私の会社の系列だよ。お姉ちゃん。」


菜々は一部上場の西京商事のLNGチームに所属している。西京不動産販売は旧財閥の西京グループのひとつである西京不動産の子会社だ。


「よく知らない不動産屋さんだとちょっと怖いけど、西京グループなら大手だし安心だと思うわ。ちょっと電話して話を聞いてみない。」


そういって、美樹は菜々に電話をするよう促した。


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