中古戸建 確認すべき建物の部位(床下・屋根裏)│ミニ小説〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継2)

2011年09月11日

ミニ小説〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継1)

ミニ小説
 〜不動産コンサルタントは見た!(木造アパート投資実況中継1)


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1.物件との出会い


ゴールデンウイークが明けて間もないある日のこと。突然、僕の事務所の電話が鳴り響く。


「あ、田中さんですか?ご無沙汰してます。京橋不動産の松田です。お元気ですか? ちょっと相談がありまして・・・。」


彼は、僕が独立起業する前に勤めていた四菱信託銀行時代にお世話になった不動産会社の若手担当者だ。


「おーっ、久しぶりだねえ。今日は暇だから、いつ来てもらっても構わないよ。」


「じゃ、これから伺いますね。」


突然の松田君からの電話。
僕が独立してから、彼とは全く接点を持っていなかったので、何かあったんだろうかと思っているうちに、松田君はやってきた。


松田君は、僕のオフィスでエスプレッソをすすりながら切りだした。


「この物件なんですけど、田中さんのお客様に買ってもらえませんか。昨年、隣地の1,000坪とセットで購入しましてね。1000坪の隣地部分は東鉄不動産に売ることができたんですが、この部分だけ残っちゃって・・・。」


京橋不動産は、古くなった賃貸マンションを購入し、賃借人を退去させた上で購入した土地を更地にし、大手マンションデベロッパーなどに転売する事業をメインにしている不動産会社だ。


松田君が開いた資料には住宅地図が広がっている。この物件は、山手線の西側最大のターミナル駅から私鉄で3〜4駅目の駅前にある好立地物件のようだ。


僕は、松田君の話を聞きながらA4一枚ペラの物件概要書に目を通す。


【物件概要】

◆土地60坪の正形地。三方路。平成23年度路線価約150万円/坪。

◆建物は昭和52年築木造2階建 延床面積60坪。

◆現況年間収入は552万円。

◆売却希望価格 5,500万円


物件概要を眺めながら僕は頭の中で計算してみる。


平成23年度路線価が150万円/坪だから、土地の評価額は少なくとも9,000万円はする。しかも三方道路だ。表面利回り(総収入÷売買金額)は10%を超えている。こんな美味しそうな物件をわざわざ僕のところに持ってくるなんて、普通はあり得ない。


「何か売れないワケでもあるの?」


松田君の目線が僕の目線から大きく逸れる。そして彼は一呼吸置く。


「実は、テナントが半分くらいしか入居してないんです。しかも1階は全て居酒屋とかスナックなんです。2階は6部屋ありますが1室しか入居してません。6畳一間が4つに4畳半一間が2つです。しかも今時お風呂もないんです。だから、前の所有者も敢えて入居募集をしなかったみたいなんです。」


まるで「かぐや姫の『神田川』」の歌詞に出てくるような部屋だと思いながら、僕は聞いてみる。(神田川に出てくるのは三畳一間の下宿だが・・・)


「各部屋の賃料はどれくらいなの」


「1階店舗は1部屋月額7万円が6部屋、2階は月額4万円です。」


「各店舗の契約期間はどの程度なの?」


「長いところだと20年近くですね。短いところでも6年は経ってます。10年以上のところが多いですね。延滞歴は全くありませんよ。」


僕はちょっと考えてみた。


普通の不動産屋さんなら、立退き費用を支払ってテナントに退去してもらい、建物を解体して戸建て分譲や小規模マンション開発をしたいと考えるはずだ。


住宅部分は100万も支払えば、確実に退去してもらえると思うが、店舗は全く読めない。しかも契約期間が長いため、地元にある程度根付いているはずだ。とすると営業保証を含めて、いくら請求されるか全く分からない。だから立退きを前提に考えることは難しい。


立退き交渉が簡単にできるのであれば、そもそも京橋不動産がやっているはずだ。とすると、築34年の建物を保有するリスクを負ったまま、現在のテナントに貸し続け、中長期的に所有せざるを得ない。恐らく、建物の築年数からしても、銀行ローンも通りにくい案件だろう。


テナントが居酒屋やスナックばかりの築34年賃貸物件だと、普通の投資家であれば、継続的に賃料が支払われないかもしれないと不安に思うに違いない。かなりハードルの高い案件だろう。


「これだと、買おうとする人はかなり限定されそうだね。余剰資金があって、建物に関する知識やテナント管理ノウハウもあるようなお客さんでないと、興味を示さないかもしれないね。」

資金調達も難しいと思うしね。」


松田君は残念そうに黙りこむ。その沈黙を避けるかのように、僕は言葉を発する。


「でも、この手の不動産に興味を示してくれそうなクライアントがひとりだけいる。」


「本当ですか!わかりました。是非、田中さんのクライアントにお話してみてください。」


「その前に、一度物件をよく見せてもらうよ。エージェントの僕が物件を見ずしてセールスできないからね。」



※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。

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ayumiltd at 11:32│Comments(1)│TrackBack(0)│ │ミニ小説 

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この記事へのコメント

1. Posted by はるまま   2011年09月16日 17:12
5 え〜〜、フィクションなの?

本当の話かと思ってどきどきしながら読んでましたよ!!

結末が気になります(^^)

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