ミニ小説〜不動産屋の背信 第三話 都合のいいシナリオ2012新春 金利放談

2012年01月09日

ミニ小説〜不動産屋の背信 第四話 価格査定

ミニ小説 〜不動産屋の背信 第四話 価格査定


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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第四話 価格査定


土曜日の昼下がり、藤川家の呼び鈴が軽やかに鳴った。


「西京不動産販売の五十嵐でございます」


インターフォンに出た藤川菜々は、五十嵐を玄関に招き入れる。


藤川邸の玄関を入ると、モリディアーニだろうか、女性の肖像画が眼前に現れる。続いて眼を上に向けると大きな吹き抜けの空間が広がる。菜々は、五十嵐が玄関の様子を鑑賞するのを少々待ってから、姉の美樹が控えるリビングへ五十嵐を案内した。



五十嵐は美樹と菜々に挨拶を済ますと、鞄からレポートを取り出した。


「さっそくですが、藤川様のご自宅の価格査定をして参りましたので、簡単にご説明させていただきます。」


手渡されたレポートはA4サイズ3枚分だ。五十嵐は15分程度かけて簡単に説明したが、美樹や菜々にとって具には理解できない内容だった。二人に理解できたことは、土地が12500万円、建物が0円ということだった。


姉の美樹は、解ったような解らない様な顔で五十嵐の話を聞いている。美樹は、長女とはいえおっとり型で、菜々とすれば少々頼りない面があった。一方の菜々はその逆で、幼いころから何事にも積極的ではっきりと物を言う少々気の強い面のある女性だった。だからこそ、藤川姉妹にとって一大事業となる自宅売却の仕切り役は、菜々が担うのが当然であった。


菜々は、土地の査定額については、自分がインターネットで調べた水準からするとやや高めではないかと感じていた。一方建物については、0円ということはあり得ないと感じた。自宅に残っていた建物請負契約によると、請負金額は3000万円程度だった。築10年だからといって、0円ということはないのではないか。しかも、五十嵐は、今日初めてこの建物を見たにも拘わらず0円と言い切っている。


「土地の値段は納得感があるんですけど、建物が0円というのはどういうことですか?」


五十嵐は答えた。


「一般的な一戸建の規模は30坪程度です。お宅のように50坪の建物となるとかなり大きな規模になりますので、購入する方は限られます。通常、この規模の建物をお買い求めになる方は、それなりのお金持ちでしょうし、そういう方は自分の好きなように建物を建てたがります。つまり大型の中古建物は極めて売りにくいんです。藤川様の建物はとても立派ですが、そういったお金持ちの方々が、この建物を気に入るかどうかは分かりませんし、気に入らなければ逆に解体費がかかるということになります。」


さらに五十嵐は続ける。


「本来、この周辺で一般的に売れる規模である30坪程度の土地の場合、その土地相場は1坪あたり200万円といったところです。藤川様の土地は60坪弱ありますから、規模的には倍の大きさになりますので、1坪あたり200万円より安くなるはずです。しかし、藤川様のご所有土地は立地も環境もよいので、周辺相場よりも少々高めの水準で販売活動をしてみる価値があると考え、今回のような査定結果に致しました。ただし、一定期間の販売活動を経過しても、この水準で買主が見つからない場合には、建売業者などに売却することを検討していただくことになると思います。」


確かに、菜々としても自宅周辺の新築建物はずいぶん小さくなっている気がしていた。自分の家がかなり大きな家であり、昨今の景況感からすれば簡単に売れる建物ではないことは感覚的には理解できた。


とはいえ、元々は「
この地域で中古一戸建てを探しているお客様がいます。急いでいますので相場より高く買います!」というチラシを入れてきたのは西京不動産販売なのだ。西京不動産販売の考えではなく、この周辺で相場より高く買うという買主が、自分の物件に対してどのような評価をしてくれるのかをまずは知りたい。もしかすると、その買主は、この土地だけでなく建物も気に入るかもしれないのだ。


「チラシのお客さんはどうなんですか」

と菜々は切りだす。


すると、五十嵐はこう言った。
 

「チラシのお客様だけでなく弊社の優良顧客に対して、早急に藤川様のご所有不動産をご紹介したいと思っておりますが、法律上、媒介契約を締結してからでないと、セールス活動ができないルールになっています。まずは、この書類にサインをしてほしいのですが。」


※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。

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