2012年03月15日
ミニ小説〜不動産屋の背信 第七話 案件会議
ミニ小説 〜不動産屋の背信 第七話 案件会議
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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第七話 案件会議
西京不動産販売三軒茶屋支店では、毎週月曜日の朝から店内の支店長以下、営業担当者で先週の活動報告、今週の活動予定、案件報告などをおこなう。
五十嵐は、藤川姉妹が所有する桜新町の案件資料が参加者に行き渡るのを確認し、説明を始めた。
「この物件は、敷地面積60坪弱程度の住宅用地です。建物は築10年ですが、この規模になると、買主ターゲットはかなりの高所得者層に限定されますし、そういった所得者層の場合、新たに自分好みの建物を建てたいというケースが殆どだと思います。よって、建物付きではありますが、土地売り前提でセールスを開始して下さい。」
別の担当者から意見がでる。
「高所得者といっても、うちの店に来ている1億円以上の買い情報は数えるほどしかなかったと思いますよ。その顧客がだめだったらどうするんですか。早めに建売業者に情報提供しておいたほうがいいんじゃないですか。」
会議に参加している担当者たちの視線が五十嵐に集まる。
五十嵐以外の担当者達も、一般のユーザーでこの物件が決まるとは思っていない。できれば自分達も手っ取り早く建売業者にこの物件を紹介して、成果を上げるチャンスを得たいのだ。
「恐らく現実的な買主ターゲットは建売業者になるでしょう。大雄ホーム、みかどハウス、栄建設は私が持ち込みます。それ以外の建売業者に持ち込みたい場合には、私に一度ご相談ください。」
会議に参加している担当者たちから嘆息が漏れる。この地域で本命と目される建売業者が全て五十嵐に押さえられてしまっているからだ。
五十嵐からすれば、同じ店内とはいえ、同僚に買主を紹介されてしまえば自分の成績は半減してしまう。歩合の度合いが高いがゆえに、出来る限り自分だけで案件をまとめ上げたいというインセンティブが強く働くのだ。
五十嵐は続ける。
「仰る通り、エンドユーザーで購入できる顧客は極めて少ないと思いますが、店内のエンドユーザーにまずは持ち込んでください。ちなみに、今週金曜日に専任媒介を結びます。その日のうちに当社ホームページに物件を掲載し、翌日の土曜の朝刊に折り込みチラシを入れる予定です。レインズへの登録は来週の金曜日になります。それまでの間に、可能性がありそうな一般エンドユーザーに徹底的にセールスしておいてください。」
レインズへ登録すれば、即座にこの物件が首都圏にある不動産業者すべてに知らされることになる。その前に購入してくれそうな買主候補全てにセールスしておけば、他の不動産業者に買主を探索される可能性は低くなる。
五十嵐の説明が終わったところで、五十嵐の後輩である高橋が質問する。
「ところで、レインズに他の不動産業者から問合せがあった場合はどうしますか?」
「原則として商談中と回答してください。」
「買主を連れて案内したいと言われてもですか?」
「商談中で構いません。」
五十嵐は言い切った。
高橋はいつものこととはいえ、「商談中」という言葉にどこかむなしさを感じていた。
他の不動産業者が、この物件に興味を持つ買主を連れてこようとしているにも関わらず、西京不動産販売が勝手に売主と買主が繋がることを遮断してしまうからだ。
高橋はこの行為が、本当によいことなのかどうか常に疑問に思っていが、背に腹は代えられないとも感じていたし、どの不動産業者も行っている行為と聞かされていた。
高橋はこれ以上、何も言うことができなかった。
※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などには一切関係ありません。
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