2012年11月02日
ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十一話 真実
ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十一話 真実
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ミニ小説 〜不動産屋の背信 第二十一話 真実
藤川美樹は、東都信託銀行本社ビル10階から8階の社員食堂に向かった。
ワンフロアのほぼ全てが食堂となっている8階は、朝9時半ころであれば人影もまばらで目立たない。
美樹は意を決してHSリアルティーに電話をかけた。
「あのう、私、東都信託銀行の藤川と申します。畑中さんいらっしゃいますか。」
「私が畑中ですが・・・」
「あっ、畑中さんですね。私、東都信託銀行の藤川と申します。弊社不動産部にいる同期の三上典子さんからお話を伺いお電話いたしました。」
「三井さんの同期なんですね。それはそれは。で、どうされました?」
「実は私、西京不動産販売さんにお願いして、桜新町の自宅を売却しようとしているんです。畑中さん、何のお話かわかりますよね。」
「ああ!あの桜新町の売主さんなんですね、藤川さんは。すると、今村様の買付証明書もご覧いただいたんですね。」
「そうなんです。でも、西京さんは、素性のわからない相手とは取引しないほうがいいと言うし、今日の朝10時までに、とある建売業者さんに9500万円で売ると明言しないと、この値段で建売業者にはかってもらえないかもしれないと迫られているんです。畑中さんが東都信託のご出身と聞いてちょっと安心したんですが、買主の今村さんがどんな方なのか分からず心配で。。。」
「うちのお客さんは東都海上火災のOBで今村様という方です。特に問題がある方ではありませんよ。」
「東都海上の方なんですか。ちょっと安心しました。でも、あの買付証明書を読むととても不安で・・・」
「そうでしょうね。ただあのような内容になったのには事情があるんです。」
「事情?」
「ここだけの話にしてほしいんですが、実は、今村様はこの物件にずっと興味をお持ちで、弊社から西京さんに物件見学のお願いした経緯があるんです。しかし、西京さんからは別に進めているお客様があると言われ、藤川さんの物件を拝見させて頂くことができなかったのです。」
「えっ!物件見学の申し込みをしていただいたんですか?」
「はい。ところが数週間経過しても、藤川さんの物件は西京のウェブサイトに掲載されたままの状態が続いていましたので、先行している買主さんとの交渉がスムーズに進んでいないかもしれないと思い、万が一、先行している買主さんとのお話がダメになった場合、今村様に検討させてほしいというメッセージを送ったというわけなんです。」
「そうなんですか。分かりました。」
美樹は一息置いて、話を続けた。
「今、建売業者さんが9500万円で買ってくれるという話があるんですが、10時までにどうするか決めないと、この話がなくなるかもしれないんです。どうしたらいいのか分からなくて・・・」
「1〜2週間くらい待ってもらえないんですか?普通ならその程度の期間、待っていただけると思うんですが・・・」
「西京の説明では待てないということなんです。ところで、畑中さんのお客さんは絶対に買ってくれるんですか?」
「それは保証できませんよ。まだ物件見学もしていないんですから。住宅診断もさせていただきたいですし。もちろん、結果として、何も問題がなければ1億2500万円で購入したいというご希望です。」
「問題があったらどうなるんですか?」
「問題というのは建物の劣化状況次第ですね。売主さんに修繕してもらいたい箇所がある場合、修繕費用を差し引いた価格になるかもしれません。」
「修繕費用ってどの程度ですか?」
「まずは、中を見せていただいて、住宅診断をしてみないと何とも言えません。ただ、9500万円ということは、1億2500万円と3000万円の差ですよね。今お住まいになっていて、雨漏りがひどいとか、家が傾いているとか、柱が朽ちているということがないなら、そんなに大きな金額がかかるとは思えません。仮に、どうにもならない欠陥が見つかった場合、3000万円の修繕をするより建替えたほうがいい。3000万円なら、解体費用を含めても十分な金額ですからね。だから、9500万円というのは最低ラインの金額ということになると思いますよ。」
「解りました。ちょっと妹と相談してみます。」
電話を切ろうとした美樹を遮るように、畑中が付けくわえる。
「藤川さん、今日こうやって私と直接話をしたことについて、西京には言わないほうがいいですよ。西京さんにも立場がありますし、気分を害されてしまうと今後スムーズなやりとりができなくなってしまうかもしれないので。」
「解りました。有難うございます。」
そう言って、美樹は電話を切った。そして急ぎ、妹の奈々に電話をする。
※この作品はフィクションです。実際の人物、団体、事件、物件などとは一切関係ありません。
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